エルダー2021年3月号
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で、実際の裁判例を紹介していきたいと思います。人員削減の必要性2かつては、人員削減をしなければ企業存続の危機に瀕する状況にあることを求めるような時代もありましたが、近年では、そのような差し迫った状況であることまで求めるものではなく、企業の運営上合理的な判断としてやむを得ないものと評価されるものであれば、基本的には経営者の判断が尊重される傾向があるといわれています。とはいえ、人員削減の必要性については、具体的な根拠をもって示さなければ、客観的かつ合理的な理由があるとは評価されません。人員削減を行う一方で、新規採用を行っているような場合や、経営上赤字ではないよう整理解雇の4要件(要素)1労働契約法第16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。この規定は、経営上の理由により、整理解雇する場合であっても適用されるものと考えられています。整理解雇における、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を判断するにあたっては、四つの要件(要素)を考慮して判断されることが一般的となっています。①人員削減の必要性、②解雇回避努力、③人選の合理性、④手続きの妥当性が、四つの要件(要素)として考慮されます。本稿では、これらがいかなる内容を意味しているのか整理したうえ判例上、整理解雇の4要件(要素)が確立しており、それらの要件に則した検討が必要となります。また、部門に所属する従業員全員を解雇するためには、人員削減の必要性が高く、解雇回避努力を尽くしたうえでなければなりません。A第34回 部門閉鎖と整理解雇、人事考課に基づく降格弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2021.338知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q部門閉鎖により整理解雇を行わざるを得ないときの留意点について知りたい経営状況悪化にともない、事業部門を一つ閉鎖することを予定しています。部門閉鎖とあわせて整理解雇を実施しなければ、事業継続はむずかしいと考えているのですが、部門に所属する従業員を解雇することは可能でしょうか。Q1

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