エルダー2021年3月号
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2021.356※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します増ます島じま雅まさ和かず、蔦つた 大だい輔すけ 著/経団連出版/1800円+税ロア・ユナイテッド法律事務所 編/岩いわ出で 誠 編集代表/民事法研究会/6000円+税事例に学ぶサイバーセキュリティ多様化する脅威への対策と法務対応新型コロナ対応人事・労務の実務Q&A新型コロナウイルスの感染拡大は、企業の人事労務管理に大きな影響をもたらした。感染が疑われる社員への対応に頭を悩ませたり、テレワーク導入のために就業規則の見直しに取り組んだ担当者も少なくないのではないか。加えて、最近は自然災害が毎年のように発生しているので、人事労務管理にもBCP(事業継続計画)やリスクマネジメントの視点を取り入れた備えが必要であることはいうまでもない。本書は、緊急時の人事労務管理に十分な備えをしておきたい担当者に最適な書籍だと思われる。人事労務管理面におけるリスクマネジメント上の課題を、BCPへの対応を含めて多様な視点から具体的な問題として抽出するとともに、企業における実務につなげることを念頭に、新型コロナウイルス感染症感染拡大後、編者に寄せられた相談事例に即して構成されている。236問のQ&Aには、それぞれ「課題への対応策」と「トラブルの予防策」が示されているので、対応のポイントも容易に理解できる。労働問題を専門に手がける法律事務所が執筆しているだけあって、内容は折り紙付き。平時の人事労務管理上のリスクマネジメントに役立てることも可能な好著である。サイバーセキュリティとは「データ、情報システム、情報通信ネットワークを安全に保つための対策を講じて、それを維持する」こと。その対応が後手に回れば経営の根幹を揺るがす事態を招きかねず、まずは組織をあげて取り組むべき課題だと認識することが重要だ。この問題は、とかく技術的な話題に偏りがちになるので、人事労務担当者のなかには「担当外」と認識してしまう人も少なくないと思われるが、本書を一読すればその認識が変わるだろう。本書は、財務省や金融庁においてサイバーセキュリティ問題を担当してきた弁護士が筆を執り、この問題が組織的な課題であることを前提に、企業が取り組むべきサイバーセキュリティ対策を具体的な事例に基づき解説。組織対応の手順や勘かん所どころ、留意すべき法的なポイントがわかりやすく紹介されているので、サイバーセキュリティ問題の全体像を押さえながら、「電子メール等の誤送信」、「内部からの情報持出し」、「ビジネスメール詐欺」、「ウェブサイトへの不正アクセス・改ざん」など多岐にわたるケースごとに、具体的な対応を理解することができる。まず手に取るべき入門書として、人事労務担当者の方々におすすめしたい。問題の全体像から法制度、対応のポイント、予防策まで網羅した入門書リスクマネジメントの視点を取り入れ、緊急時の対応策を詳解

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