エルダー2021年3月号
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2021.34住友林業株式会社 理事・人事部長羽田一成さん算ではありませんか。羽田 多様なライフプランに対応できるように、定年退職の時期を選べる「選択型定年制度」としました。60歳に到達した翌月以降、65歳年度末までの間は、いつ退職しても定年扱いとします。60歳を過ぎて、健康状態や家族状況など個別事情の変化を理由に、定年を前倒しすることも可能です。 例えば、62歳で退職し再雇用社員として週4日勤務にペースを落として働きたいなど、個別のニーズに対応できます。再雇用社員になると、家族の介護などの事情がなくても、短日・短時間勤務を選択できます。 なお、再雇用社員は、原則として転居をともなう転勤はありませんが、正社員でも年齢などにかかわらず、勤務地限定を選択できる認可型コースがあります。―貴社には65歳以降も継続して雇用する「シニア人財バンクセンター」という制度がありますが、その上限年齢を撤廃されたそうですね。羽田 2018年に導入した制度で、会社が必要とし、本人が希望する場合は、65歳以降も継続して雇用を行うという制度で、1年ごとに更新する有期契約ですが、これまで上限年齢を70歳としていました。この上限年齢を、今回の定年延長を機に、撤廃しました。―この制度のもとで活躍されているシニアは何人くらいいますか。また、どのような仕事にたずさわっているのでしょうか。羽田 現在24人で、最高齢は68歳です。職種はさまざまですが、例えば住宅の設計にたずさわる建築士。当社に建築士は数多くいますが、長年の経験に裏づけられた高度なスキルを持つシニアは、お客さまの高度で複雑な要望をデザインに表現できるような、余人をもって代えがたい力をもっています。また、お客さまのニーズを理解して迅速に的確な対応につなげる能力は、コールセンターでも求められるものですが、そこでも若い人に交じって、シニアが活躍しています。住宅事業以外でも、植林や育林の専門家、研究所の研究職、関係会社で監査をしている経理のプロなど、これまでの業務経験を通じてつちかわれた高度なスキルを活かして勤務しています。―今年4月から70歳までの就業確保措置の導入が努力義務となりますが、貴社ではいち早く態勢を整えたといえそうですね。羽田 シニア人財バンクセンターは、従来の上限70歳のままでもクリアできる内容でしたが、より進んだレベルを目ざしました。課題があるとすれば、現行の「会社が必要とする者」という要件です。65歳までは「希望者全員」の雇用確保が法で求められています。将来これが70歳までになった場合に備えることも検討しておく必要があるでしょう。70歳までの就業確保措置では、雇用以外の方法、例えば社会貢献事業での就業も選択肢としてあげられています。当社グループ内で継続して働く場合の選定方法や、社会貢献活動などで働くことを就業確保措置に含めるかどうかを検討し、労働組合と協議していきたいと考えています。高スキル人材が65歳以降も働ける独自制度の上限年齢を撤廃(聞き手・文/労働ジャーナリスト鍋田周一撮影/中岡泰博)

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