エルダー2021年3月号
65/68

エルダー63あげられます。しかし実際には、修業の厳しさはどの業界も変わりません。日本料理といっても、いつも青筋を立てているわけではなく、笑ってやるときだってある。調理師学校などで講師を務めるときは、そんな話をしながら、少しでも間口を広げて、日本料理に進む人を増やしたいと思っています」現在の職場では、料理長という立場ではない分、若い料理人たちに優しく接しながら日本料理の楽しさを伝え、彼らの成長をサポートしていきたいと考えている。自身の経験から、「たいへんなときもあるかもしれませんが、だからといって、やめてしまったらそこで終わりです。料理が好きだという気持ちが少しでもあるなら、仮に店は辞めても料理は続けてほしい」と若い世代にエールを送る。ホテルニューオータニ幕張TEL:043(297)7777(代表)https://www.newotani.co.jp/makuhari/(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)んなにうまいものじゃないですけど』と答えると、『うまくないと思っているものをなんで客に出すんだ』といって、ごまをすって煮汁で伸ばしたものと絡ませたんです。そうすると、青味の絹さやさえもおいしくなります。このように、どんなときでも、とことん味にこだわる姿勢を教わりました」厳しさだけではなく楽しさも伝えていきたい厳しい親方のもとで修業した経験は、その後の自分の「芯」になり、支えになってきたと感謝する黒田さんだが、その一方で、現代の若い料理人に対しては、彼らに合った教え方が必要だと話す。「調理師を目ざす若者のなかで、日本料理を希望する人は少ない傾向にあります。理由の一つに、洋食やパティシエなどの華やかで楽しげなイメージに対して、日本料理は厳しいイメージが強いことが料理教室は、参加者から「定期的に開催してほしい」との声が上がるほど人気に ☆☆は写真提供 ホテルニューオータニ幕張レストランや宴会場が提供する日本料理全体に目を配る。厨房を手伝うことも多い若手指導にも力を注ぐ。料理教室で助手を務めた西にし まい米さん(写真右)は「話の上手さも勉強になります」と語るホテル内には「千羽鶴」(写真)をはじめ三つの日本料理店がある昨年11月に初めて開催された「黒田廣昭プレミアム賞味会&料理教室」 ☆イベントを通じた地元の顧客開拓も黒田さんに期待されている役割の一つ。写真は、なだ万時代の弟子との料理イベントのために考案されたサンプルメニューの数々 ☆

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る