エルダー2021年4月号
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特集人事労務担当者のための年金入門エルダー13る資格があり、厚生年金保険の加入期間が1年以上であることです。受給開始年齢となる3カ月前に日本年金機構から年金請求書が届くので、添付書類等を準備して提出します。誕生日の前日から提出が可能です。特別支給の老齢厚生年金には、繰下げ制度はありません。手続きを遅らせても、年金額そのものが増額するものではなく、また、在職老齢年金で年金が停止になった分が、退職後に請求することによりさかのぼって受給できるわけではありません。一部でも受給できる場合は請求をしておかないと、時効(5年)がありますので、受給しそびれることのないよう受給開始年齢で請求しておくのがベストです。特別支給の老齢厚生年金は65歳で終了し、引き続き65歳からの老齢厚生年金の受給が始まります。3 繰上げ・繰下げ受給の仕組み老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、繰り上げて受け取る(早めに受け取る)ことや繰り下げる(遅めに受け取る)ことが可能です。繰上げは60歳から可能で1カ月ごとに0・5%減額された年金額となり、その減額された年金額で生涯受給していくことになります。また、繰下げは65歳から最低1年間受給するのを待ち、66歳から70歳までの間に請求することができ、1カ月につき0・7%増額した年金額を繰下げ後から生涯受給していくことになります。月ごとの減額率・増額率に合わせた受給率は図表4の通りです。老齢基礎年金だけの人は65歳で受け取れる老齢基礎年金の見込み額に受給率表にある受給したい年齢と月齢をあてはめて計算すれば、年金額がわかります。しかし、厚生年金保険の加入期間がある人は計算がもう少し複雑になります。特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を受け取れる方と65歳からの老齢厚生年金だけの方の繰上げの例をみていきます。(図表5)。年金太郎さんの場合、60歳で繰上げ(Bパターン)をすると、特別支給の老齢厚生年金は通常より3年早く受け取ることになり(0・5%×63歳65歳妻が65歳60歳82%65歳妻が65歳63歳65歳妻が65歳70%100%88%63歳65歳88%88%65歳60歳70%65歳70%60歳60歳63歳63歳63歳60歳60歳特別支給の老齢厚生年金を受給する人の繰上げ年金太郎さん(昭和34年3月3日生まれ、配偶者が年下)の例65歳からの老齢厚生年金を受給する人の繰上げ年金次郎さん(昭和37年3月3日生まれ、独身)の例A 通常の受給老齢厚生年金加給年金一生涯老齢基礎年金報酬比例部分報酬比例部分B 60歳で繰上げ老齢厚生年金加給年金一生涯老齢基礎年金C 63歳で繰上げ老齢厚生年金加給年金一生涯老齢基礎年金老齢厚生年金一生涯老齢基礎年金D 通常の受給老齢厚生年金一生涯老齢基礎年金E 60歳で繰上げ老齢厚生年金一生涯老齢基礎年金F 63歳で繰上げ図表5 (特別支給の)老齢厚生年金を受給する人の繰上げの例※筆者作成出典:日本年金機構『老齢年金ガイド』(数字は%)月年齢0カ月1カ月2カ月3カ月4カ月5カ月6カ月7カ月8カ月9カ月10カ月11カ月繰上げ受給60歳7070.57171.57272.57373.57474.57575.561歳7676.57777.57878.57979.58080.58181.562歳8282.58383.58484.58585.58686.58787.563歳8888.58989.59090.59191.59292.59393.564歳9494.59595.59696.59797.59898.59999.565歳100100100100100100100100100100100100繰下げ受給66歳108.4109.1109.8110.5111.2111.9112.6113.3114114.7115.4116.167歳116.8117.5118.2118.9119.6120.3121121.7122.4123.1123.8124.568歳125.2125.9126.6127.3128128.7129.4130.1130.8131.5132.2132.969歳133.6134.3135135.7136.4137.1137.8138.5139.2139.9140.6141.370歳142(以降同じです)図表4 昭和16年4月2日以降に生まれた方の繰上げ・繰下げ受給の受給率(老齢基礎年金)

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