特集人事労務担当者のための年金入門エルダー15るときに社会保険料(介護保険料、健康保険料等)や地方税は年金を含む年収に応じて決まるため、繰下げの効果として収入も増えますが、支出も増えることが考えられます。人により寿命が異なるのでいつから受給するのがよいかの判断はむずかしいのですが、繰上げも繰下げもメリットとデメリットがあるので十分考慮して選択することが大切です。繰上げは年金請求書が届くのを待たずに受給を希望するときに申請します。繰下げは65歳のときに届く年金請求書(はがき)に繰下げの意思表示をしておき、受給したいときが来た時点で申請します。事前申請等は不要です。なお、法改正により2022年4月から繰上げ受給の減額率が1カ月あたり0・5%から0・4%に、繰下げ請求の年齢は75歳まで延長され(1カ月あたりの増額率は0・7%で変わらず)最大で84%の増額率となります。4 在職老齢年金在職老齢年金とは、60歳から70歳までの間に働きながら(厚生年金に加入しながら)老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金も含む)を受け取る場合に、年金額と給与・賞与の合計額が一定以上になると年金の一部または全部が支給図表7 在職老齢年金の計算方法出典:日本年金機構『老齢年金ガイド』〈計算方法〉在職老齢年金制度による調整後の年金受給月額=計算方法①:基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2計算方法②:基本月額-総報酬月額相当額÷2計算方法③:基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}計算方法④:基本月額-{47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}■60歳から65歳になるまでの在職老齢年金の計算方法■65歳以降の在職老齢年金の計算方法基本月額基本月額基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下ですか?基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下ですか?在職老齢年金制度による調整後の年金受給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2総報酬月額相当額が47万円以下ですか?基本月額が28万円以下ですか?基本月額が28万円以下ですか?全額支給全額支給計算方法①へ一部または全額支給停止計算方法②へ計算方法③へ計算方法④へ➡ 加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額➡ 加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額(日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金(退職共済年金)がある場合には、すべての老齢厚生年金の額を合計したものの月額)※70歳以上の方は、厚生年金保険に加入しないため、標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額となります。総報酬月額相当額総報酬月額相当額➡ (その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12➡ (その月の標準報酬月額※)+(その月以前1年間の標準賞与額※の合計)÷12はいはいはいはいいいえいいえいいえいいえはいいいえ
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