エルダー2021年4月号
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特集人事労務担当者のための年金入門エルダー21ある従業員が定年を迎えるので嘱託社員として再雇用する予定です。この場合、どのような手続きが必要なのか教えてください。社会保険の同どう日じつ得とく喪そうの手続きが必要となります。Q1A定年後再雇用の場合、社会保険においては、再雇用後も引き続き被保険者資格取得を満たす場合には、定年時の資格喪失と再雇用後の資格取得を同時に行う「同日得喪」の手続きが必要となります。なお、雇用保険に関しては、定年後再雇用後も被保険者資格取得の要件を満たす場合には引き続き雇用保険被保険者となるため、資格に関する手続きは生じません。1 社会保険の同日得喪とは(1)健康保険・厚生年金保険(以下、「社会保険」)では、事業所単位で適用事業所となり、その事業所に常時使用される人は、国籍や性別、賃金の額などに関係なく、すべて被保険者(70歳以上の人は健康保険のみ)となります。事業所が従業員を雇用した場合など新たに健康保険および厚生年金保険に加入すべき者が生じた場合に、事業主が資格取得届を提出します。(2)定年後再雇用の場合、雇用契約はいったん終了し、新たな雇用契約を締結したものとなりますが、社会保険においては、再雇用後も引き続き被保険者資格取得の基準を満たす場合には、定年時の資格喪失と再雇用後の資格取得の手続きを同時に行うことができます。この手続きを「同日得喪」といい、60歳以上で退職した労働者が1日の空白もなく引き続き同一の事業主に再雇用された場合のみ、特例的に行うことができます。事業所の定年制の定めの有無による相違はありません。60歳以後に退職した後、継続して再雇用された場合であれば対象となります。2 手続き内容(1)事業主が該当者の厚生年金保険などの被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を同時に年金事務所へ提出することにより、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。  なお、その際に添付書類として、「就業規則や退職辞令の写し等の退職したことがわかる書類および継続して再雇用されたことがわかる雇用契約書」または「事業主の証明」が必要になります。また、事業主の証明は、特に様式は指定しませんが、退職された日、再雇用された日が記載されているもので、事業主印が押印されているものが必要となります。(2)健康保険組合および厚生年金基金に加入解 説3Q&Aで年金制度の疑問を解決!株式会社田代コンサルティング代表取締役社会保険労務士 田代英治

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