エルダー2021年4月号
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エルダー47労務資料 ① 高年齢者雇用安定法Q&A70歳までの就業確保においては、労働者の希望に合致した労働条件までは求められていませんが、法の趣旨を踏まえた合理的な裁量の範囲内のものであることが必要と考えられます。雇用の選択肢(定年の引き上げ・廃止、継続雇用制度)により70歳までの就業確保を行う場合には、最低賃金や短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)に基づく雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保など、労働関係法令の範囲内で賃金等を定める必要があります。雇用によらない選択肢(創業支援等措置)により70歳までの就業確保を行う場合には、創業支援等措置の実施に関する計画に「高年齢者に支払う金銭に関する事項」を定めた上で、過半数労働組合等の同意を得る必要があります。また、「高年齢者に支払う金銭に関する事項」については、業務の内容や当該業務の遂行に必要な知識・経験・能力、業務量等を考慮したものとなるよう留意する必要があります。2 対象者基準 対象者を限定する基準とはどのようなものなのですか。対象者を限定する基準の策定に当たっては、過半数労働組合等と事業主との間で十分に協議の上、各企業の実情に応じて定められることを想定しており、その内容については、原則として労使に委ねられるものです。ただし、労使で十分に協議の上、定められたものであっても、事業主が恣意的に特定の高年齢者を措置の対象から除外しようとするなど高年齢者雇用安定法の趣旨や、他の労働関連法令に反する又は公序良俗に反するものは認められません。【適切ではないと考えられる例】『会社が必要と認めた者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)『上司の推薦がある者に限る』(基準がないことと等しく、これのみでは本改正の趣旨に反するおそれがある)『男性(女性)に限る』(男女差別に該当)『組合活動に従事していない者』(不当労働行為に該当)なお、対象者を限定する基準については、以下の点に留意して策定されたものが望ましいと考えられます。ア 意欲、能力等をできる限り具体的に測るものであること(具体性)   労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ、到達していない労働者に対して能力開発等を促すことができるような具体性を有するものであること。イ 必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること(客観性)   企業や上司等の主観的な選択ではなく、基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことのないよう配慮されたものであること。3 65歳以上継続雇用制度の導入 65歳以上継続雇用制度として、再雇用する制度を導入する場合、実際に再雇用する日について、定年退職日から1日の空白があってもいけないのでしょうか。上で、具体的にどのような点に留意したらよいのでしょうか。

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