エルダー2021年4月号
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2021.456※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します佐藤信のぶ紘ひろ 編著/毎日新聞出版/1650円佐藤博ひろ樹き、武石恵美子 責任編集/佐藤博樹、松浦民恵、高たか見み具とも広ひろ 著/中央経済社/2750円ハッピーエイジングリズミカルに生きると体は老いないシリーズ ダイバーシティ経営働き方改革の基本本誌2020(令和2)年12月号と2021年2月号のこのコーナーで紹介した「シリーズ ダイバーシティ経営」の第3弾。本書は、働き方改革の基本をテーマに、多様な人材が能力を発揮するダイバーシティ経営の土台となる働き方改革や、そのにない手となる管理職の役割などを示している。働き方改革の取組みは徐々に進展しつつあるが、長時間労働の解消のみが目的となっている内容が多く見受けられる。もちろん長時間労働の解消は大事なことだが、本書では、働き方改革で解消すべき課題は、仕事が終わらなければ残業すればよいと考える「安易な残業依存体質」であると指摘。その体質を解消し、ダイバーシティ経営や社員のワーク・ライフ・バランスを実現するための取組みにすることが求められるとして、労働時間の多様化、管理職の登用、勤務場所の柔軟化、テレワークなどについての考え方や取組みのポイントを説いている。また、仕事以外の生活も大事にしたい「ワーク・ライフ社員」を増やしていくことにつながる「生活改革」の必要性も提示。働き方改革と生活改革の好循環の実現に向けて、個人や企業がやるべきことを考察している。本書のタイトル「ハッピーエイジング」とは、「幸福寿命」を意味し、病気や障害があっても、孤独感なく、社会の支援を受けながら多様なかたちで自立し、幸せに生活できることを表しているという。本書は、順天堂大学でジェロントロジー(老年学)の講座を担当する医師や研究者らが、「健康長寿」と「幸福寿命」を実践する秘訣を、わかりやすく説いた一冊。ハッピーエイジングの秘訣は「動き、楽しみ、人を喜ばせる」を続けること。リズミカルに生きるために、「動けるからだづくり」や「ひざ学」、転倒のリスクや予防方法、栄養改善、これからの高齢者医療などを紹介している。働きがいを感じられる仕事を持ち、少し休みを増やしながらも社会参加を続けていくことも秘訣に含まれるようだ。仕事をすることで、社会とのネットワークを持続し、体を動かし、動くことを楽しみ、周囲の人を喜ばせる活動を続けることにより、周囲との共生が生まれ、生涯自分は現役だと感じられることも、「ハッピーエイジング」の実践であるという。生涯現役を目ざす中高年はもとより、シニア社員の活躍推進に力を入れる経営者や人事労務担当者にとってもためになる良書である。元気に働き、幸せに生きて、健康寿命を延ばすには?「ワーク・ライフ社員」を受け入れ、それぞれの能力を活用するための方策を示す

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