エルダー2021年4月号
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2021.4621/1000mm単位で計測できる「高性能高さ測定器」の測定方法を指導。「正確に測定するには、対象物に測定子をソフトにあてることがコツ」と山納さんているノギス※1やハイトゲージ※2を生産する測器工場。検査を通じた部品や製品の品質維持・向上はもとより、検査方法の標準化などにもたずさわってきた。特に新製品開発や製品のリニューアルでは、各部品の新たな評価のため、さまざまな測定が求められる。山納さんは各種の測定機器を駆使し、高精度の測定による正確な評価を行い、新製品の開発からリリースまでの期間短縮にも貢献。長年にわたる功績が認められ、2020(令和2)年11月、厚生労働大臣表彰の「卓越した技能者(現代の名工)」に選ばれている。部品製造プロセスの知識を品質改善に活かす山納さんの技能において特筆すべきは、精密な計測の技能に加えて、検査の対象となる部品や金型などの製造・加工技術についての知識が豊富なことだ。そのため、検査で品質に問題が見つかった場合には、製造工程にさかのぼって改善策を提案することができる。「例えば、プラスチックの射出成形の場合、金型のゲート(注入口)から注入した溶融樹脂の二つの流れが合流する部分にウェルドと呼ばれる筋ができることがあります。原因は、合流部分がゲートから離れており、注入した樹脂が冷えてから合流したためです。ウェルドができて外観上不具合がある場合は、問題を指摘するだけでなく、金型のゲートの位置を変更させるなどの改善を提案します」山納さんは入社後16年間、外注部品の受入れ検査に従事。協力会社から納品される部品の品質向上のために、協力会社とともに改善に取り組むなかで、金属加工・成形加工・射出成形・表面処理などの知識を身につけた。豊富な経験に基づく幅広い知見が、同社製品の品質向上や開発期間の短縮などに活かされている。測定技能に加えて部品の製造ノウハウも知っていることで品質の改善や新製品開発期間の短縮などに役立つ提案ができます※1 ノギス……対象物の長さや厚さなどを測定する工具※2 ハイトゲージ……対象物の高さを測定する工具

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