エルダー2021年5月号
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創業86年の計測器メーカー人を大事にする方針長野県上田市に本社を構える計測器メーカー、日置電機株式会社は、開発から生産、販売までを一貫して行う自主独立の開発型企業で、高付加価値な自社開発製品のラインナップは300種類におよび、2020(令和2)年度の売上高は216・6億円、経常利益は26・4億円。グループ従業員数は980人である。「人間性の尊重」と「社会への貢献」を企業理念とする同社の大きな特徴は、人を大事にしていること。2017(平成29)年に65歳定年制と定年後70歳までの継続雇用制度を導入したのも、この方針の表れといえる。当時、人事部でこれらの制度の策定をになった赤沼徹也氏(現・日置フォレストプラザ株式会社代表取締役社長)は、「会社にとっての一番の肝は、そこで働く社員です。日置電機は、入口の新卒採用から、継続した教育、継続雇用を経て退職に至るまで、人にかかわることに力を入れています」と語る。そんな同社の高齢者雇用関連制度の導入・改定の経緯をふり返っていこう(図表1)。時々の状況や課題をふまえ先を見据えて制度を改定▪1987年〈55歳定年から60歳定年制に〉同社は1987(昭和62)年、それまで55歳だった定年年齢を60歳に引き上げた。前年に高年齢者雇用安定法が施行され、60歳定年が努力義務化された時期とも重なるが、定年延長を決断したのは、その必要性があったことが大きい。当時は、海外展開を進めていた同社がプラザ合意※後、内需にシフトしていこうとしていた時期。90年代にかけて会社が大きくなりつつあり、成長を支える人材を必要としていた。▪2005年〈60~65歳の継続雇用を開始〉2005(平成17)年に、定年後65歳までの継続雇用を開始した。背景には、2004年(2※ プラザ合意…… 1985年、先進5カ国(G5:アメリカ合衆国、イギリス、フランス、西ドイツ、日本)による為替レート安定のための合意162021.5図表1 定年に関する人事制度改定の経緯時期概要1987年定年年齢を55歳から60歳に延長2005年定年後65歳までの継続雇用制度を開始2011年公的年金の支給に合わせて定年年齢を3年ごとに段階的に引上げ、最終的に65歳にすることを決定2012年4月48~60歳の処遇改定2013年4月定年年齢を60歳から61歳に引上げ2016年4月定年年齢を61歳から62歳に引上げ2017年4月定年年齢を前倒しで65歳に引上げ定年後70歳までの継続雇用制度を開始2018年4月60~65歳の処遇改定2020年4月キャリアサポートプログラムを導入企業事例 1未来を見据えて制度の見直しを重ね70歳までの雇用制度を早期に実現日ひ置おき電機株式会社(長野県上田市)

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