エルダー2021年5月号
20/68

2021.518課も反映する。2020年開始、生涯現役の意欲を高める「キャリアサポートプログラム」シニアスタッフの人数はまだ少ないが、運用するなかで、少しずつ課題がみえてきた。例えば、「まだまだ働けるのに、シニアであることを理由に『ここまででいいです』と線引きされる」という不満を持つシニアスタッフがいる。一方、逆にそれを受け入れて、「私はシニアだからこれくらいの働き方で十分」と思っている人もいる。それに対して、所属長や周りの社員からすると、「気を遣って業務分担をしなければいけない」とか「やる気がないシニアスタッフが自分のモチベーションを下げる」といった不満や、「自分がシニアになったときに何ができるか」といった不安の声があがっているという。同社は、こうした課題を払拭しょくするには、キャリア形成が重要ととらえ、2020年4月、「キャリアサポートプログラム」を導入した(図表2)。従来は、45歳でミドル研修を実施した後は、会社としてキャリアについて考える機会を提供していなかったが、50歳、55歳、60歳でも研修を実施し、本人のやりがいを高めていく。「いままでは、キャリアは自分で考えるものという考え方があり、会社としてはあまり手を入れていませんでした。しかし、これまで60歳もしくは65歳くらいで終わりだと思っていたところ、70歳まで働けるようになったということで、まだまだ活躍するためにどうしていけばよいか、本人の意識を持ち上げていくため、若いうちから取り組んでいきます」(赤沼氏)という。65歳以降も、所属長のサポートを得ながら前向きにキャリアを築いていってもらう。ポイントは、本人のキャリア意識の醸成と、周囲との共有・ベクトル合わせだ。新たに設けた「キャリアジョブシート」を活用して、本人の思い描いていたことを明確にし、自分がすべきこと、期待されることを理解させるとともに、それを職場で共有し、シニアスタッフの置かれている立場を周りにも知ってもらう。社員と同じように半期ごとに目標設定も行い、考課もきちんとフィードバックする。「ある日突然定年を迎え、そのときになって『どうしますか?』では遅いので、若いうちから自分の人生設計やキャリアを考えるきっかけ©2020 HIOKI E.E. CORPORATION図表2 キャリアサポートプログラム新しい分野への挑戦を支援(場づくり)+学び直し支援(リカレント教育)フェーズ 2フェーズ 146歳55歳45歳社員のマインドを下支えする取り組みミドル研修キャリア面談(年に2回)55歳時説明会50歳時研修55歳時研修60歳時研修56歳60歳61歳64歳65歳70歳自らのキャリアを考えることの重要性を認識する様々な選択肢を知り具体的な選択肢を考える再雇用に向けた準備期間具体的な進路を決定役割発揮働きやすさ勤務日数を選択可能やりがいステップ1①自己申告書②目標設定③考課表④求める能力の明確化ステップ2①ジョブ選択制度  続行orジョブリストから希望業務を選択+

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る