エルダー2021年5月号
22/68

オーダーメイドの工作機械を「自社一貫生産体制」で製造JR豊川駅から車で15分。東名高速道路の豊川ICからもほど近い郊外に立地する西島株式会社は、自動車関連や産業用部品などの専用工作機械を自社一貫生産体制でつくる国内有数のメーカーとして知られる。創業は1924(大正13)年。初代の西島吉きち三さぶ郎ろう氏が三重県鳥と羽ばで立ち上げた、発動機を製造する「西島鐵てっ工こう所じょ」が始まりである。吉三郎氏は1932(昭和7)年、主に農業や土木用として、簡便に使用でき、かつ、重量の軽減や粗悪な燃料にも対応した画期的な発動機を開発。これが、国内はもとより、東南アジアなどにも多数輸出される製品となった。その後、豊橋市に新工場を建設。そこを拠点とし、1945年に社名を「豊橋工倶西島鐵工所」に改称した。戦後も発動機の生産を行うが、次第に需要がなくなり、つちかった技術を活かして工具メーカーを目ざす。そうしたなかで工具をつくるための工作機械の製造に着目し、人を育てて一途に技術を磨き、オーダーメイドの専用工作機械を得意とするメーカーとして成長した。1998(平成10)年に現社名となり、その後、愛知県内のすぐれたモノづくり企業として認められる「愛知ブランド企業」の認定を、この認定制度がスタートした初年度の2003年度に受けている。現在では、ほぼ100%が受注生産で、自動車をはじめとする大手メーカーのニーズに応じて、世界で唯一の専用工作機械を製造している。創業時から定年制がなく「一生元気、一生現役」受注生産の専用工作機械を得意とする高い技術力が同社に育まれた背景には、「定年なし、学歴関係なし、技術に限界なし」を経営方針に掲げ、年齢にかかわらず「一生元気、一生現役」を推進して、すべての社員が役割を持って、長く活躍することをうながす独自の企業風土を築いてきた歴史がある。創業以来、定年制を設けたことがなく、西島豊代表取締役社長は、「週5日、8時から17時までの8時間勤務を基本的な条件として、会社が存続するかぎり正社員として雇用を続ける生涯雇用を行っています」と話す。ただ、それは意図して実践されていることではなく、「何もないところからモノづくりを始めた当社にとっ2021.520企業事例 2人材を大切にする企業文化を受け継ぎ創業以来、定年のない生涯雇用を実現西にし島じま株式会社(愛知県豊橋市)

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る