エルダー2021年5月号
4/68

2021.52株式会社ファンケル 上席執行役員・管理本部長永坂順二さんに「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」を掲げていますが、〝不〞とは不便・不安・不満という意味です。会社が社員に〝不〞をつくってどうするんだということです。 そこで社員にアンケート調査をすると、40代前半までの若い層は、「働けるうちはいつまでも働きたい」という人が多い反面、40代後半から60代の層は「65歳で一区切りをつけたい」、「正社員としてフルで働きたくない」という人も多かったのです。世代によって働き方に対する考えにも違いがあります。一律に同じ制度にするのはむずかしいため、65歳以降は年齢上限なしに週4日や1日5時間など、勤務日数や時間については会社が本人の希望を聞いて柔軟に働くことができる「アクティブシニア社員制度」を新設したのです。また、契約社員やパート社員は65歳で契約満了となりますが、65歳以降もアクティブシニア社員として働くことができます。―雇用年齢の上限もなく、働き続けたい人―貴社では2017(平成29)年4月より、65歳で雇用契約が終了するそれまでの制度をあらため、年齢の上限なしに働ける「アクティブシニア社員制度」を新設しました。制度導入の背景と目的について教えてください。永坂 これまで正社員は、60歳定年後に嘱託社員として65歳まで再雇用する制度がありました。当社は2020年で創業40周年を迎えますが、創業期は工場や配送部門を含めて女性のパート社員が多く、その後正社員となり、一生懸命にがんばってくれたおかげで業績も向上し、今日のファンケルを築き上げてきました。今後徐々に、その人たちが引退の時期にさしかかるのですが、みなさんとてもお元気です。本当に引退する人は少なく、次の仕事先を探す人が多いのが現状です。しかし、65歳からまったく違う環境でゼロから働くのはたいへんですし、なによりファンケルで何十年も働いてきた人に年齢だけで「さようなら」というのはどうなのか。当社は創業理念はいわば生涯働くことができるわけですが、会社として不安はありませんか。永坂 もちろん健康であることが第一の条件です。毎年1回、健康診断の結果や体調をみて判断します。また当社の健康支援室では5人の常勤保健師が3700人の全社員の健康状態を個別に管理しています。アクティブシニア社員についても何か問題があれば報告を受けますし、次の契約をどうするか判断できる仕組みになっています。スタート時点ではアクティブシニア社員の該当者が少なく2人でしたが、いまは14人。女性が10人、男性が4人ですが、希望した人のほぼ全員が働いています。制度スタート時の該当者は現在69歳、71歳の人も2人います。部長、課長、係長経験者もいますし、週4日勤務の人もいれば、短時間勤務の人もいますが、ほとんどがフルタイム勤務です。14人には「生涯働いてください」と声をかけ励ましています。 制度開始時「なぜいま始めたのですか」と聞かれましたが、対象者が少ないタイミングで導入したほうがよいのです。いきなり100人のシニアが一緒に働くことになれば社員も困惑するでしょうし、2人からスタートすれば5年、10年後は普通の光景になります。「アクティブシニア社員制度」の新設後は70歳への延長も視野に65歳定年制を導入

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る