エルダー2021年5月号
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エルダー39労務担当として月に1回、社会保険労務士の事務所と情報交換をすることも業務の一つです。それまで労務に関する仕事の経験はなかったそうですが、「日々勉強」という前向きな姿勢で取り組んでいます。驚いたことは法律の改定が多いことだったとか。「こんなにも法律が変わるものだと、以前は思ってもいませんでした」と目を丸くしていました。高田さんは社員の相談窓口も担当しています。「雑談や声かけなどをして、人の話をよく聞くようにしています。〝おせっかいなおばさん〞と思われているかもしれませんね。ただ、世の中にはいろいろな考え方があって、本人が置かれている状況は人によって異なるので、相談を受ける立場として相手の話をよく聞いて、考え方を押しつけることはしないように心がけています」(高田さん)相談窓口の担当に就く際には、実務者向けセミナーや、メンタルヘルスサポーターの講習会などを受講したそうです。窓口の相談内容は社員の健康や家族のことなどプライベートにかかわることなので、慎重に対応しているといいます。「男女雇用機会均等法もなかった世代の私がシニアとなり、シニアとしての働き方や社会とかかわる仕事をさせてもらえること、イベントへの参加などにチャレンジさせてもらえることにやりがいを感じます」(高田さん)富山事業所の総務部門の責任者である吉田祐ゆう介すけ所長は、「公営競技場はいろいろな団体が関係していて、さまざまな年代の、さまざまな雇用形態の人が働いています。総務部門からの情報の周知や調整はたいへん重要で、若手社員が行き届かないところや業務の隙間を埋めるようなサポートを高田さんがしてくれるので助かっています。社員数が増えて人間関係で問題が起こりやすい状況のなか、年長者の経験と包容力で大問題になる前に収束させ、それによってみんなが働きやすい環境をつくってくれています」と、高田さんの働きぶりに太鼓判を押します。相談窓口では高田さんとタッグを組み、相談者の年齢や内容などに合わせて担当をふり分けているとのこと。高田さんは総務業務が長いことから社員全員からの信頼が厚く、富山事業所の「みんなの相談窓口」にもなっているのだとか。「社員に親身になるだけではなく、会社の考え方と社員の気持ちを中立的にアドバイスすることができるので、管理部門である私も相談にのってもらっています」(吉田所長)充実した仕事生活を送っている高田さんですが、ときには壁に直面することも。「考え込んで滅入らないように、体を動かしたりお酒をたしなんだりと息抜きをしっかりしています」と教えてくれました。高田さんは会社の時短勤務制度を利用し、1日7時間、月20日間の勤務で、高齢になった親の世話を続けています。「これからも心身ともに健康で楽しく働き続けていきたい」と、抱負を語ってくれました。吉川部長は、「経験豊富な高齢社員にこそ任せたい役割があります。技能伝承、若手へのビジネスモラルのレクチャー、現場社員のメンターなどです。政府の提唱する『人生100年時代構想』をふまえると、定年年齢の引上げも視野に入れて高齢者雇用について検討すべきだと考えています。駒場プランナーには、社員が高齢に到達する前に、キャリア設計をどのようにしたらよいか、本人にその意識を持ってもらうためにはどうしたらよいかを相談したいですね」と話していました。 (取材・西村玲)吉田祐介所長

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