エルダー2021年5月号
48/68

たいときには、賞与を一切支給しないという労働条件は不合理とされる可能性が残っています。賞与の支給に関して、正社員との差異を設けるような場合には、賃金体系に相違を持たせて、職能給の延長線上にならないような注意が必要であるほか、賞与支給の考慮要素に業績連動が含まれている場合には、一切支給を行わないことは不合理と判断される可創業支援等措置と業務委託について1高年法が改正されたことにともない、継続雇用後においても、就業機会の確保について努力義務が定められることになりました。能性がありますので、注意が必要です。なお、パート有期法14条1項・2項は、事業主が講ずる措置について、有期雇用労働者に対して説明する義務を定めているため、なぜ再雇用後に賃金が減額されるのか、賞与や退職金の支給対象にならないのかについても、合理的に説明できるように準備しておく必要があります。これまでの高年法との相違点としては、対象年齢が70歳までに延長されたことが特徴としてあげられますが、それ以外にも、「雇用」にかぎらず、さまざまな働き方による「就業機会」の確保という整理がなされた点も特徴としてあげることができます。制度の詳細については、ここでは子細には触れませんが、継続雇用を終えて退職した労働者との間で、業務委託契約を締結して、仕事をしてもらうことも就業機会の確保のラインナップに入っているため、今後、このような対応をする企業も増加してくるかもしれません。これまでの雇用関係による継続雇用とは異なり、業務委託とする場合には、会社は直接の指揮命令を行う立場ではなくなります。抽象的にいえば、元社員の独立性を維持したうえで、その判断に裁量を認めることが求められます。業務委託において委託する業務の内容が、在籍当時とほとんど相違ないようなことが想定されますが、そのような業務委託の形態は必ずしも適切とはいえないでしょう。業務委託関係となった社員が、これまでの雇用と異ならないし、給料も支払ってもらえるという認識のままでは、後日トラブルになるおそれがありますので、業務委託の関係に切り替わることは明確に説明しておくべきでしょう。そのためにも、業務委託契約締結時には、書面により締結することとしたうえで、就業条件について、業務内容、支払う金銭の額および支払い時期に関する事項、契約締結の頻度や受発注の方法、納品または役務提供の方法に関する事項、契約変更の方法、契約終了の事由(解除、解約または契約期間)などを定めておくことが重要でしょう。継続雇用後であっても業務委託として認められるために、その実態が労働者として評価されないように留意する必要があります。直接の指揮命令を避けることや費用負担などの合意の内容などをふまえて契約形態を検討しましょう。A高齢社員の雇用終了後、業務委託契約を結ぶ際の留意点について知りたい今後、65歳で継続雇用を終えて退職した後の従業員においても、まだまだ働ける者が出てくる予定です。雇用終了後は、業務委託の形で柔軟な働き方を認めていこうと思っていますが、留意すべき点はありますか。Q22021.546

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る