エルダー2021年5月号
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エルダー53特別寄稿企業のシニア人材マネジメントに関する実態調査労機会確保義務への対応」、「社員の健康上の配慮」、「能力・スキル不足」、「給与原資の確保」、「職務の準備拡大」となっています。これは45歳以上の高齢者偏重組織となっている企業が84%を占めるなかで、5〜10年後においては60代社員の増加が予想されることから職域確保、健康問題がクローズアップされるととらえていることが考えられます。シニア人材に対する施策実施状況4施策を実施しているとする企業の割合は62・9%となっています(図表2)。実施率は企業規模が大きいほど高く、1万人以上の企業における施策の実施状況は78・0%です。また、業種別にみると「金融・サービス」、「情報通信」、「製造・建設」での実施率が高くなっています。具体的な施策としては、「ポストオフ・役職定年制度」が38・1%でトップとなっています(図表3)。これは、組織の高年齢化にともなう人件費の増加や管理職の世代交代が優先的に行われているためと考えられます。対象年齢別に見た実施施策の状況をみると、45歳以降のスキルアップ研修の実施割合は大きく下がります。キャリアプランニング研修の実施タイミングは50歳、ポストオフ・役職定年は55歳になっています(図表4)。役職定年後、再雇用後にモチベーション、パフォーマンスの低下が生じることを考えると、55歳以降のタイミングにおける「キャリアカウンセリング・キャリアコンサルティング施策」の実施、新たな職務に適応するためのスキル教育などの多様な活躍に向けた施策の実施が望まれるといえます。シニア人材施策の位置づけと人事部の課題5年代・対象別に人材開発予算配分をみるとシ020406080100(%)シニア社員本人の働くモチベーションの低さシニア社員のパフォーマンスの低さシニア社員に対する現場のマネジメントの困難さシニア社員の報酬・処遇の適正化シニア社員に対する健康上の配慮シニア社員のための職務の準備・拡大(職域開発・多様化)シニア社員の能力・スキル不足シニア社員に対する給与原資の確保70歳までの就労機会確保努力義務への対応16.615.636.831.016.010.928.344.918.68.929.642.917.910.830.041.417.09.133.140.815.912.333.438.517.111.333.438.322.512.029.436.120.312.032.135.6現在も将来も、課題としては認識していないn=8001~5年後に、課題になってくる5~10年後に、課題になってくる現在、すでに課題になっている図表1 シニア人材に対する具体的な課題感図表2 シニア人材に対して施策を実施している割合(%)n=800n施策は実施しておらず、検討もしていない施策は実施していないが、検討している施策を実施しているが、成果が得られていない施策を実施しており、一定の成果が得られている施策実施率(計)全体(800)14.322.935.427.562.9従業員規模(全正社員)100~500人(333)18.628.528.824.052.9500~1000人(129)14.721.737.226.463.61000~1万人(215)11.219.539.529.869.31万人以上(123)7.314.643.934.178.0業種製造・建設(289)11.823.937.726.664.4卸・小売(82)15.930.529.324.453.7情報通信(49)4.128.632.734.767.3金融・サービス(186)13.414.039.233.372.6医療/教育・福祉(74)24.328.425.721.647.3その他(120)18.323.335.023.358.362.952.963.669.378.064.453.767.372.647.358.3

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