エルダー2021年5月号
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2021.554ニア人材への予算配分は6・3%となっています(図表5)。今回の回答企業においては、84%の企業が45歳以上に人員が偏在した状態ですが、予算は要員数のボリュームに見合った配分がなされていません。原因は、シニア人材に対する課題認識の低さです。人事課題の優先度をみていきますと課題感の上位は「メンタルヘルス対策」、「優秀人材の採用」、「長時間労働の是正」であり、シニア人材の活用・活性化は中位です。また、キャリア自律の推進や学び直し支援といったシニア人材の活躍に関連するテーマはさらに低い位置づけです。調査分析では、人事施策の導入は「効果の得られやすさ」との相関がありました。ポストオフなどの人件費抑制効果がすぐ見込めるものは導入が進むものの、キャリア自律や学び直しなどの効果がすぐに見込めないものは、なかなか導入が進まない傾向にあることがうかがえます。シニア施策の推進体制をみていきますと、シニアに特化した組織・担当者配置は19・6%であり、組織体制の充実度合いは、従業員規模別に差があることがわかります(図表6)。シニア施策の実施に向けたハードルをみていきますと「経営層からの承認」、「予算の捻出」、「人事部門の企画構想力の不足」が上位です(図表7)。施策推進を行うには、経営層の理解や承認を得るため、施策目的、費用対効果を明確にすることが必要となりますが、人事部においては企画構想力を持った人材が不足していることもあり、施策実施が抑制されている可能性があります。おわりにシニア課題の解決に向けて6調査では、企業の半数がシニア人材のモチ020406080100(%)ポストオフ・役職定年制度健康支援スキルアップ研修キャリアプランニング研修出向・転籍施策社内公募・異動施策シニア社員と上司との1on1キャリアカウンセリング/キャリアコンサルティング施策マネープランニング研修/相談スキルアップ/リカレント教育に対する支援金の支給キャリア開発シートの運用「年上の部下」を持つ管理職向けのマネジメント研修アセスメントの実施社外転身支援シニア社員に対するメンターの配置社会貢献活動の支援33.133.039.944.346.949.448.947.848.651.552.056.154.159.959.359.138.136.530.630.128.824.524.122.322.020.319.115.115.114.112.612.628.830.529.525.624.426.127.030.029.428.328.928.830.826.028.128.3実施しておらず、検討もしていない実施していないが、検討している実施している図表3 シニア人材に対する各施策の実施割合60.050.040.030.020.010.00.0キャリアプランニング研修キャリアカウンセリング/キャリアコンサルティング施策スキルアップ研修ポストオフ・役職定年制度45歳未満45~49歳50~54歳55~59歳60歳以上(%)図表4 シニア人材向け施策の実施対象年齢

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