エルダー2021年5月号
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エルダー55特別寄稿企業のシニア人材マネジメントに関する実態調査ベーションやパフォーマンスに課題感を持っているものの、施策実施トップはポストオフという現状が明らかとなりました。また45歳以上に人材が偏重している企業が多い一方で、人材開発費はシニア人材にはわずか6・3%しか配分されておらず、シニア人材の戦力化という観点では、能力開発・キャリア開発の観点で施策実施に課題があることが明らかになりました。なお調査結果からの分析では、シニア人材の活躍において、①社内の職務ポジションが可視化されたうえで、適材適所に向けた施策が充実していること、②専門性を重視し、育成体制が充実していること、③ダイバーシティが重視され、個が尊重されていることが明らかになりました(図表8)。シニア人材の活躍をうながす人事制度という観点での分析では、「職務」の市場相場を反映させた等級・処遇制度がシニアの活躍をうながすという結果も出ました。今後、シニア人材の活躍に向けては、職務を軸にした人材マネジメントを推し進めるとともに、課題の大きさ、実施効果を明らかにしたうえで経営層の理解をうながし、施策を充実させていくことが必要であると考えられます。新卒入社者34.5%中途入社者20.2%管理職17.1%幹部候補層11.9%シニア人材 6.3%その他 10.0%図表5 対象別の人材施策の予算配分図表8 シニアの活躍と組織の特徴0.010.020.030.040.050.060.0いずれも存在しない人事管掌役員の配置人事関連の戦略・企画組織の設置人材開発・教育研修組織の設置事業部人事(HRBP)の設置キャリア開発・自律支援組織の設置/担当者の配置キャリアカウンセラーコンサルタントの配置(社内/専任)キャリアカウンセラーコンサルタントの配置(社内/兼任)キャリアカウンセラーコンサルタントの配置(社外/業務委託)ダイバーシティ&インクルージョン推進組織/担当者の配置シニア社員の課題対応組織/担当者の配置人事組織体制の実態(%)53.145.042.120.325.97.410.46.618.819.624.0n=800人事組織実態キャリア支援体制特定課題推進図表6 人事組織体制の実態0.05.010.015.020.025.030.035.040.0経営層からの承認予算の捻出人事部門の企画構想力の不足人事部門の人員不足人事部門のリーダーシップの不足人事部担当者のシニア社員に対するスキル/知見の不足労働組合からの承認施策実施により生じる現場とのハレーションへの対応人事部内の連携の弱さその他シニア人材向け施策実施のハードル(障壁) (%) n=80037.134.523.820.820.019.416.115.09.31.0図表7 シニア人材向け施策実施のハードル(障壁)100~500人(333)34.830.325.212.013.23.36.33.07.211.439.3500~1000人(129)49.636.435.715.523.35.47.81.66.211.622.51000~1万人(215)67.458.660.523.734.97.912.19.828.425.111.61万人以上(123)81.369.962.641.547.219.521.116.346.340.75.7■重回帰分析統制変数|設立年数・上場・業種・人員構成調整済R2乗値: .229  サンプル数:n=800***:1%水準で有意   **:5%水準で有意標準化偏回帰係数(影響の大きさ)*** .117** .097*** .163** .090*** .206組織の特徴ポジションのオープンさ異動・転勤の多さ専門性重視育成の手厚さダイバーシティ&インクルージョンの浸透社内労働市場の透明化専門性の重視と育成体制個の尊重シニア人材活躍(%)n=800

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