エルダー2021年5月号
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エルダー61コロナ禍で生じたさまざまなストレス新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)の流行拡大による、二度目の緊急事態宣言が3月に一都三県で解除されたものの、感染力の強い変異株の拡大などにより、まん延防止等重点措置が一部の地域に適用されました。流行を抑える効果が期待される新型コロナのワクチン接種が、欧米などに続いて日本でも進んでいます。一方で新型コロナに直接的に効果のある薬剤は開発中の段階で、最終的な終息は来春以降であろうと思います。65歳以上の高年齢は新型コロナでは重症化のリスク因子の一つですが、みなさんは不安やストレスをこれまで感じてこられたでしょうか。厚生労働省が公表したインターネットを介した調査結果では昨年2月から9月までの期間で、回答者の5割から6割の人が何らかの不安などを感じたと回答しています。具体的な内容は大まかに図表1のように分類できます。ストレスの影響と背景を理解するこれらの不安やストレスによって懸念されるのは、図表2にあげたような事態や影響です。適切な措置や対応により、こうした事柄を防止し、影響を小さくしていくことが求められますが、そのために不安やストレスに対する正しい理解を職場で共有することが大切です。新型コロナの流行やその影響で、なぜ心理的な不安を抱えやすいのかというと、現代に生き心理的な不安見えないウイルスなどに対するもの感染した場合の批判や差別、保健所による調査の影響社会的な変化家族、友人、職場などの人間関係雇用不安や経済面のこと親や子どもに関する心配事行動面の変容家族、友人などとの交流機会の減少医療機関にかかりづらいことレジャーや娯楽をしづらいこと身体的な変化身体を動かす機会や範囲の減少食生活の変容睡眠や生活リズムの変化テレワークにともなう変化不安やストレス※筆者作成図表1 コロナ禍による働く人の不安やストレス  コロナ禍で変わる職場と働き方株式会社健康企業 代表・医師 亀田高志コロナ禍において労働者が抱えるストレス第1回 「禍」とは「わざわい、災難に加えて不幸なできごと」を意味し、「コロナ禍」とは新型コロナウイルス感染症の流行拡大で生じた災難や不幸、経済的・社会的影響あるいは危機的状況をさしています。多くの職場や仕事に変化をもたらし、働く人に影響を与えていますが、課題を正しく理解し、適切に対処することは可能です。短期連載

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