エルダー2021年6月号
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特集コロナ禍や自然災害に立ち向かう働く高齢者の底力エルダー13所は玄関に限定。さらに面会時間を15分に制限した。■施設内外の勉強会に参加従来から月一回ほどの頻度で研修会、勉強会を開き、認知症対応、危険予測、介助方法、口腔ケア、緊急時対応などを学んでいる。新型コロナウイルスについても勉強会を開催。外部の研修に看護主任らが出席し、受講した研修内容をもとにテーマを決め「感染対策チーム」、「スキルアップチーム」が中心となって、全職員を対象に定期的に実施することを継続している。■近隣施設の最新状況の把握と対応近隣介護施設でのクラスター発生により緊張を強いられた経験をもとに、周辺施設の感染状況、対応の仕方などをしっかりと把握し、施設内での対応の参考にしている。■ 他施設を併用している利用者の通所先を一本化他施設のデイサービスを併用している利用者は、ケアマネージャーと相談のうえ、通所先を1カ所に絞ってもらうように要請した。■職員から情報収集県外由来の感染を防ぐために、県外からの来訪者などの情報を、職員を通じて収集するようにしている。特に外部とのやりとりが多いケアマネージャーは、情報に通じているとのこと。感染予防に有効とされる対策を幅広く実施し、情報収集を怠らないことが功を奏して、感染者ゼロを継続。これが地域に住む住民の安心感につながり、利用者数が減少することなく、コロナ禍以前の業績水準を維持している。未み曾ぞ有うの感染症予防対策のもとで働く同社の高齢職員の藤野隆文さん(70歳)に、日々行っている対策や心がけについてうかがった。感染予防業務などで多忙な職員を高齢職員が下準備でフォロー藤野さんは、送迎ドライバーとして利用者の送迎を担当している。仕事のモットーは「利用者さんがいまを忘れず、1日を楽しく、元気に過ごしてもらうこと」。そのために実践しているのが、利用者の健康状態の見極めだ。「朝の送迎では、一人ひとりの状態をよく観察するようにしています。『今日は元気そうだ』、『調子がよくなさそうだ』、そういった朝一番に会ってどう感じたかを大事にしています。そうして感じたことを、事業所に到着して看護師さんに申し送りをすることによって、その日の利用者に必要なケアができるのだと思っています」(藤野さん)。藤野さんは送迎する職務だけでなく、利用者の立場になってできることを自ら考えて行動している。同じ高齢者として気づくことも含め、日々、利用者と同じ目線で接するように心がけている。現在のコロナ禍で仕事をするうえで心がけていることは、「施設と利用者に迷惑がかかるので、自分が感染しないように予防することが大事」と語り、「人混みに行かない」、「4人以上の会食はしない」など一般的に注意喚起されている感染リスクが高まる行動を自粛。「適宜手洗い、うがい」を励行して基本的な感染予防対策を徹底している。予防のために自家用車内にもアルコールを設置したそうだ。「特に家族の協力は重要です。家族全員で毎朝検温を行い、体調管理に努めています。送迎ドライバーのなかには家族の1人が熱を出した際、大事をとって休暇を取った人がいました。ワクチン接種は申し込み済みです。痛くないと送迎ドライバーを務める藤野隆文さん

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