エルダー2021年6月号
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特集コロナ禍や自然災害に立ち向かう働く高齢者の底力エルダー15企業事例2高品質でおいしい卵が大人気地域とお客さまを大事にする養鶏会社熊本県菊池市で養鶏を中心にした生産・加工・販売を行う株式会社コッコファームは、1969(昭和44)年に創業。全国的に卵を産む鶏の90%以上が輸入鶏のなか、希少価値が高いといわれる純国産鶏「もみじ」を約8万羽養鶏している。鶏舎環境や餌にもこだわった高品質な卵は、多くのファンを持つ。また、一次産業である農業(養鶏業)から、二次、三次産業である加工、販売まで業容を拡大。いわゆる六次産業化企業として、地域や顧客との信頼関係を重視した経営を推進している。2010(平成22)年にオープンした「たまご庵」は、物産館やレストランなどを備え、直営農場より毎日運ばれる「コッコファームのたまご」に加え、地元生産者による新鮮な野菜や加工品も販売している。従業員は131人、平均年齢は44・7歳。定年年齢は65歳で、定年後は、本人と会社の話合いにより最長70歳まで継続雇用する。長く勤める人も多く、60歳以上は37人。ベテランの知恵と経験を活かし、さまざまな職種で活躍している。仕事にやりがいを持ち、お客さまの笑顔のためにがんばるベテランたち従業員のなかで勤続年数がもっとも長い藤坂伸子さんは、68歳。勤続33年の大ベテランだ。「入社したときは若々しい30代でした」と笑う。元気の秘訣は、やりがいのある仕事をしていること。「チャレンジしたいことがあれば、上司も話を聞いてくれるし、実際にそれをやらせてもらえる会社です」と話す。現在所属する物産館は、接客好きの藤坂さんにうってつけの部署だ。いまもフルタイム勤務を続けており、冗談で「止まると死ぬ」といわれるほど回遊魚のように動き回っている。「お客さまの笑顔が一番ですね。お客さまとの会話で学べることもありますし、お客さまにご提案できることもあります。コロナ禍になる前は、試食を提供して商品の説明をしたり、お野菜の調理の仕方などをお話しし、会話が弾みました」と藤坂さんはいう。藤坂さんに会いに来店する人も多く、「来たよ!」と声をかけてくれるという。同じく物産館で働く竹本雅俊さんは67歳。大型スーパーで21年のキャリアを積んだ後、同社に入社して19年になる。以前は、物産館の店長を務めていた。「売り場が専門なので、経験を株式会社コッコファーム(熊本県菊池市) ●物産館 藤坂伸子さん、物産館 竹本雅俊さん、販売促進 部署長 前田さちよさん●熊本地震を乗り越え、地域のため、お客さまのためにベテランと若手が一丸となって全力で取り組む

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