エルダー2021年6月号
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2021.616活かせると考えて入社しました。物産館では、新しく入社してくる人も他部署から異動してくる人も、物を売る経験がない人が多いんです。仕入れの仕方や売り場のつくり方などを知らないとお店の運営はできませんので、できるだけ私が教えて、一人ひとりが成長できるようにしています」と竹本さんは語る。知識・経験が豊富なだけでなく、話しやすい雰囲気を持つ竹本さんは、みんなの相談役。職場で困ったことがあると、従業員たちはまず竹本さんに相談するという。若手と接するうえで意識しているのは、「一人ひとり違う」ということ。「仕事のでき具合や考え方は、一人ひとり違います。それを察知して、どう伝えたらよいかと考えるためにも、普段からみんなと会話するようにしています。若い人と話すことで、われわれも活性化します」と話す竹本さん。仲間が頼りにするのも納得だ。販売促進 部署長で、広報も担当する前田さちよさんは61歳。藤坂さんに次いで社歴が長く、今年で29年目。「私が入社したころは女性がなかなか活躍できない時代でしたが、この会社ではいまの会長の考えで企画、広報などいろいろ経験させていただきました。昔ながらの会社ですが、女性も平等に評価され認めてもらえるので、やりがいがあります」という。たまご庵の立ち上げにも全面的にかかわり、物産館の店長も務めた。いまは、「外から人を連れてくる営業がしたい」と、団体営業の企画にたずさわっている。新しいことに前向きな前田さんのモットーは、「仕事は楽しく」。「仕事が楽しくて、お客さまの笑顔があれば一番だと思っています。いまは2階にある事務所で働いていますが、仕事をしていて疲れると、1階の物産館に行ってお客さまとお話しします(笑)。お客さまは、私たちを支えてくださるありがたい存在です。だから元気なのだと思います」と笑顔を見せる。従業員が一丸となって復旧被災の3日後には店舗をオープン5年前の「2016(平成28)年熊本地震」では、同社も大きな被害を受けた。熊本地震が起きたのは2016年4月。最初に14日21時26分に、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6・5、最大震度7の地震が発生。当初はこれが本震と思われたが、16日1時25分にも、マグニチュード7・3、最大震度7の地震が発生した。震度7の地震が同一地域で連続して発生するのは、観測史上初めてのことである。その後も活発な地震活動が続き、震度6弱以上の地震が計7回も発生。余震は半年で4000回を超えた。一連の地震により、多くの建物が倒壊。道路、電気、通信設備などのインフラにも甚大な被害が生じた。熊本県では、倒壊した住宅の下敷きになったり土砂崩れに巻き込まれるなどして50人が死亡。避難者は最大で18万人以上にのぼり、避難生活によるストレスや持病の悪化などによる震災関連死も200人を超える大災害となった。同社は14日の揺れでは被害がなかったが、16日の本震では、店のガラスが割れ、柱にヒビが入り、売り場の商品は床に散乱した。固定していた冷蔵庫も動いてしまい、2階の事務所はパソコンも何もかもが床に落ちて足の踏み場もない状態に。大会議室は天井が落ちていたという。幸いにも従業員とその家族は無事だったが、左から竹本雅俊さん、藤坂伸子さん、前田さちよさん

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