エルダー2021年6月号
35/68

エルダー33<企業プロフィール>株式会社大津屋(福井県福井市)創業1573(天正元)年 コンビニエンスストア事業(創業時は酒造業) 定年70歳、就業規則により73歳、その後は運用により上限なしで継続雇用。現在の最高年齢者は74歳。定年制度・継続雇用制度を整備し70歳就業を実現するとともに、評価・処遇制度を見直し、高齢社員が高いモチベーションで働ける環境が整っており、令和2年度高年齢者雇用開発コンテストで最優秀賞を受賞しました。人材を「宝」と位置づけ、高齢者の特性を最大限に活かせる職場づくりに取り組んでいます。内田教授に聞く 株式会社大津屋のココがポイント!シニアスタッフの強みを「より長く」、「より多く」引き出し競争力を強化 大津屋の強みはほかのコンビニチェーンにはない「地産地消」のお惣菜ですが、開発の中心となっているのはシニアスタッフです。彼らは大津屋躍進の原動力となっています。競争力強化という経営戦略から、大津屋はシニアスタッフの強みを「より長く」、「より多く」引き出そうと工夫しています。「より長く」とは、シニアスタッフが大津屋に貢献できる期間を長くすることです。そして「より多く」とは、彼らシニアスタッフの貢献度をいっそう高めることです。 定年年齢を65歳から70歳に延長することで、「より長く」が実現しています。70歳定年と73歳までの継続雇用制度を就業規則で明文化、だれでもその年齢まで働けることを保証しています。働く高齢者のなかには「自分は何歳まで働かせてもらえるのだろうか」と不安に思っている人もいます。明文化された制度は安心感を与え、働く意欲を高めます。 また、大津屋では70歳定年以降も減額のない賃金制度に加え、処遇の納得性を高めるコンピテンシー評価を取り入れてシニアスタッフのモチベーションを高め、「より多く」の貢献を引き出しています。 高齢者にはライフスタイルの変化、体力・集中力低下や新技術への対応のむずかしさがあらわれることがあります。大津屋では、高齢者との面談で個々人の事情や希望する働き方を把握しています。また、高齢者の作業負担軽減のため最新機器や設備を導入していますが、高齢者が操作方法に習熟できるよう研修にも時間をかけています。高齢者が働きやすい環境が整うことで「より多く」の貢献が引き出せます。 高齢者の多様なニーズをつかみ、きめ細かに対応して自社の強みとしている大津屋の取組みは、失敗しない高齢者活用のヒントを提供してくれます。内田 賢(うちだ・まさる)東京学芸大学教育学部教授。「高年齢者雇用開発コンテスト」(現・高年齢者活躍企業コンテスト)審査委員(2012年度~)ほか、「65歳超雇用推進研究委員会」委員長(2016年度~)を務める。《プロフィール》マンガで見る高齢者雇用エルダの70歳就業企業訪問記解説

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る