エルダー2021年6月号
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エルダー39時間、週4日勤務しています。太田施設長は、「朝は園児と保護者に危険がないように施設前の車の誘導をしたり、日中はちょっとした大工仕事をしてくれたりして、施設を利用する方々からも信頼されていますし、職員にとってはたいへん頼もしい存在です。高齢職員だからというより、温厚な人柄も含めて、日高さんだからなのだと思います」と話します。日高さんは、「子どもたちや入居者の方々の安全第一を考えて仕事をしています」と、謙虚に話します。施設内を日々点検し、例えばウッドデッキに気になる部分があればすぐに修繕し、職員から靴箱を増やしたいとリクエストがあればすぐに応えてつくってしまうとのこと。前職は公務員で現在の仕事との共通点はないものの、豊富な知識や経験を活かして、日々の仕事に励んでいます。「頼りにしてもらえることがうれしいですし、以前の週5日勤務から1日短くして、体を気遣ってもらいながら働き続けられることがありがたいです」と日高さん。建物や設備について気づいたことや修繕したことなどを書き留めて、ほかの職員にもわかるようにしているといいます。誠実な働きぶりは若い職員のお手本にもなっています。小野キミ子さん(74歳)は52歳のときに入職。知的障害や身体障害のある人が日中の時間を過ごす複合施設「湘南鬼おに瓦がわら」に勤めて22年です。ホームヘルパー2級(訪問介護員養成研修2級課程修了)を有し、利用者の食事介助、トイレ介助、散歩など介護全般をにない、週3日フルタイムで働いています。以前は夫の仕事を手伝って事務をしていましたが、ボランティア活動に参加したことがきっかけで翔の会へ入職しました。「心がけているのは、利用者さんの気持ちを大切に考え、誠実に対応すること。1日ケガなく過ごしてもらうように注意を怠らないこと、また明日も来たいと思ってもらえるよう楽しく過ごしてもらうことです」と小野さん。笑顔も素敵です。「だれかの役に立っていると実感できること」がやりがいになっていると語ります。今後の抱負は、「いままでと同様に、自分の健康を保って利用者さんと楽しく過ごして、退職するその日まで勤め上げることです」と話してくれました。一緒に働いている川口清美さんは、「だれに対しても対応がていねいで、職員、利用者さんから信頼され、頼りにされています。私も介護の仕方の細かいことについて教えてもらっています」と小野さんの仕事ぶりを語ります。同施設の蔵ぞう座ざ栄えい治じ施設長は、「小野さんがいるかいないかでフロアーの空気がガラッと変わるほどの存在です。自分が元気であるとともに、人を元気にする力に満ちあふれています。ふだんの心がけというか、生き方そのものが、気持ちがよい方だなと思います。否定的な発言をほとんど聞いたことがなく、どんな人をも受け入れる懐の深さを感じます」と語りました。これからの翔の会について太田施設長は、「コロナ禍で中断していますが、翔の会には複数の施設があるので、施設間、職員間の交流を活発にして、多世代の多様な職員が相互に理解し、より楽しい施設、職場をつくっていきたいと思います」と目標を語ってくれました。翔の会は、今年で設立29年。正職員が定年を迎え始めるこれからに向けて、宮田プランナーは定年後の職員の処遇制度の構築や、職員がより長く働くことができる職場づくりを引き続き支援していきたいと考えています。 (取材・増山美智子)「湘南鬼瓦」に通う利用者の介助を行う小野キミ子さん

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