エルダー2021年6月号
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エルダー43おわりに2今回は、転倒しやすい高齢者に対し、それを自覚させるため、高齢者の転倒しやすさを測る中央労働災害防止協会﹁転倒等リスク評価セルフチェック票﹂を紹介しました。転倒災害防止には、段差解消、滑る危険性のあるものの除去などハード対策とともに、身体機能の個人差が大きい高齢者に対し、このような高齢者が持つ身体機能、防止意識などを計測することにより、転倒しやすい人を見つけ、防止意識を向上させる対策を打つようなソフト対策も求められます。出典:中央労働災害防止協会「転倒等リスク評価セルフチェック票」出典:中央労働災害防止協会「転倒等リスク評価セルフチェック票」図表3 転倒等リスク評価セルフチェック票:レーダーチャートへ記入図表4 転倒等リスク評価セルフチェック票:判定(モデル例)あなたの身体機能(太線)は、自己認識(点線)よりも高い状態にあります。このことから、比較的自分の体力について慎重に評価する傾向にあるといえます。生活習慣や加齢により急激に能力が下がる項目もありますので、今後も過信することなく、体力の維持向上に努めましょう。一方、太線が点線より大きくても全体的に枠が小さい場合(特に2以下)は、すでに身体機能面で転倒等のリスクが高いといえます。筋力やバランス能力の向上、整理整頓や転倒・転落しやすい箇所の削減に努めてください。また、職場の整理整頓がなされていない場合などには転倒等リスクが高まることがありますので注意しましょう。図表1・図表2の評価結果を転記し線で結びます(図表1の身体機能計測結果を黒字、図表2の質問票(身体的特性)は赤字で記入)チェック項目あなたの身体機能(太線)は、自己認識(点線)よりも低い状態にあります。このことから、実際よりも自分の体力を高く評価している傾向にあり、自分で考えている以上にからだが反応していない場合があります。体力の維持向上を図り、自己認識まで体力を向上させる一方、体力等の衰えによる転倒等のリスクがあることを認識してください。日頃から、急な動作を避け、足元や周辺の安全を確認しながら行動するようにしましょう。また、枠の大きさが異なるほど、身体機能と自己認識の差が大きいことを示しており、さらに、太線が小さい場合(特に2以下)はすでに身体機能面で転倒等のリスクが高いことが考えられます。筋力やバランス能力等の向上に努めてください。パターン1パターン2身体機能計測結果 > 質問票回答結果身体機能計測結果 < 質問票回答結果①歩行能力・筋力⑤静的バランス(開眼)④静的バランス(閉眼)③動的バランス②敏捷性54321①歩行能力・筋力①歩行能力・筋力⑤静的バランス(開眼)⑤静的バランス(開眼)④静的バランス(閉眼)④静的バランス(閉眼)③動的バランス③動的バランス②敏捷性②敏捷性54321543211 身体機能計測(黒枠)の大きさをチェック  身体機能計測結果を示しています。黒枠の大きさが大きい方が、転倒などの災害リスクが低いといえます。黒枠が小さい、特に2以下の数値がある場合は、その項目での転倒などのリスクが高く注意が必要といえます。2 身体機能に対する意識(赤枠)の大きさをチェック  身体機能に対する自己認識を示しています。実際の身体機能(黒枠)と意識(赤枠)が近いほど、自らの身体能力を的確に把握しているといえます。3 黒枠と赤枠の大きさをチェック (1)「黒枠 ≧ 赤枠」の場合   それぞれの枠の大きさを比較し、黒枠が大きいもしくは同じ大きさの場合は、身体機能レベルを自分で把握しており、とっさの行動を起こした際に、身体が思いどおりに反応すると考えられます。 (2)「黒枠 < 赤枠」の場合   それぞれの枠の大きさを比較し、赤枠が大きい場合は、身体機能が自分で考えている以上に衰えている状態です。とっさの行動を起こした際など、身体が思いどおりに反応しない場合があります。枠の大きさの差が大きいほど、実際の身体機能と意識の差が大きいことになり、より注意が必要といえます。高齢社員のための安全職場づくり―エイジフレンドリーな職場をつくる―

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