エルダー2021年6月号
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エルダー3につながるということもあります。―センターの仕事といえば、草刈りなど肉体作業のイメージがあります。塚本 たしかに、ホワイトカラー出身者に見合う経理や法務などの事務系の仕事があまりないのは事実です。請負なのでそうした業務を雇用関係のない人に任せられない、あるいは高齢者より若い人にお願いしたいという企業の事情もあります。各センターも仕事の開拓に一生懸命に取り組んでいますが、除草作業などはだれかがやらないといけない大事な仕事だと思います。除草や清掃は仕事として軽くみられやすいですが、公園など公共空間は清潔で安全に保つ必要があり、汚いと子ども連れの家族なども訪れなくなりますし、交流も生まれません。行政がやると税金投入で高くつきますが、センターがやることで税金の支出も抑えられます。また個人宅の樹木の剪せん定ていや除草も専門の植木職人や業者に頼むと高くつきます。支払い能力がない家庭もありますし、放っておくと草木が生え放題になりますが、センターに頼むと安くすむ。そうした地域住民の支払い能力や税金支出を考えるとセンターの意義は大きいと思います。―地域社会のインフラを守る重要な役割をになっているのですね。塚本 私はセンターの役割について、それぞれの地域の課題を住民自ら掘り起こし、事業化する「生活環境整備事業」と呼んでいます。一つは地域の住環境をよくすること、もう一つが子どもの見守りや、子どもを預かる育児支援などの社会サービスです。例えば、マンションに住む共働き世帯の育児支援サービスを実施しているセンターなどもあります。託児所の補助をやっている会員も多く、若い夫婦にとっても自分の親だと気兼ねすることもあるので頼みやすいというメリットもあります。血縁ではなくセンターが第三者的な立場でサービスをになうことで、地域の新しい関係づくりにもつながると思います。もちろん企業で働くことを通じて社会に貢献することも重要ですが、雇われて働くと組織の利益が優先されることも多く、貢献がなかなかみえにくいこともあります。また、組織労働者として働く高齢者が増えるにしたがい、地域とのつながりが弱くなり、敬老精神が薄くなってきているような気もします。例えば、子どもの見守りをしているセンターの会員さんが休んだりすると、子どもから「おじいちゃん昨日はどうしたの? 大丈夫?」と声をかけられる。その言葉だけで生きがい地域の課題を住民自ら掘り起こすことが新しい関係づくりにもつながる

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