エルダー2021年6月号
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2021.648雇用創出、GDPに寄与する事業型NPOの先達となるNPO法人イー・エルダーは、IT企業を退職したOBエンジニアが中心となって創設し、2000(平成12)年12月に認証されたNPO(特定非営利活動法人)。企業でつちかった知識・技術・経験を有効活用し、ITを中心とした非営利事業を展開して、社会に貢献する高齢者の働き方を実践している。ひと口に「NPO」といっても、活動分野やその範囲、規模、取り組み方などの違いにより、さまざまな姿がある。イー・エルダーは、設立時から「事業型NPO」を標ひょう榜ぼうし、社会性と事業性を両立させていることが大きな特徴である。日本で「NPO」というと、ボランティア活動をイメージして、無償で働く場であると考えている人が多いかもしれない。しかし、イー・エルダーの鈴木政孝理事長は、次のように話す。「米国ではNPOがGDPや雇用を生み出し、経済社会にも貢献しています。NPO法人といっても、きちんと事業計画を立て、有料・有償の事業を行い、収益をあげて報酬を分配し、そして運転資金を確保することが大切と考えます。イー・エルダーは設立時から『事業型NPO』を掲げ、行政、企業と対等の『第3のセクター』として自立し、雇用創出、GDPに寄与する非営利組織確立の流れをつくる先頭に立ちたいとの思いを持って活動を続けています」また、高齢者が働く場を設けることについて、「長い年月にわたってつちかってきたITの知識や技術、経験、そして意欲といった知的社会資産を持っている高齢者の力を、社会に活かさない手はありません。役立てる仕組みをつくり、事業を開拓して積極的に活用することで、定年後も社会を支える側に立つ気概で、社会に貢献することができる。そうしたことを理念に掲げています」と説明する。2021(令和3)年4月現在のイー・エルダーの会員数は30人。平均年齢は73・4歳。最高年齢者は89歳の会員で、同法人のホームページ制作などを担当している。鈴木理事長は、1940(昭和15)年生まれの81歳。日本IBM株式会社(以下、「IBM」)で人事、営業、広報、社会貢献などのマネージメントを歴任して2002年に退社。退社前の2000年にイー・エルダーの創設に参画し、理事長に就任し現在に至っている。 高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となるなど、生涯現役時代を迎え、就業期間の長期化が進んでいます。一方で、60歳や65歳を一区切りとし、社会貢献、あるいは自身の趣味や特技を活かした仕事に転身を考える高齢者は少なくありません。そこで本企画では、高齢者に就労の場を提供しているNPO法人を取材し、〝企業への雇用〞にこだわらない高齢者の働き方を紹介します。活動事例生涯現役で働きたい人のためのNPO法法人NPO法人 イー・エルダー(東京都豊島区)第1回新連載

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