エルダー2021年6月号
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エルダー51活動事例NPO法法人生涯現役で働きたい人のための徒歩10分ほどのシェアオフィスに移転した。事務所を借りているとはいえ、以前より会議はすべてオンラインで行っており、メンバーが一堂に集まることはなく、コロナ禍以前からテレワークに対応していたのはさすがである。「イー・エルダーの経営委員会は役職、年齢、会員の新旧、職務に関係なく、だれもが対等です。みなさん事業に対する意識が高いので、議論しているうちに熱くなり、ときにぶつかることもありますが、最後は手をあげた人の思いを尊重して任せることにしています。会員のみなさんは人がいいというか、真面目です。『私は○○社の部長だった』などと自慢したり、偉ぶったりする人は歓迎されません」と鈴木理事長。熱い議論も楽しんでいるようで笑顔を覗かせた。寺島専務理事は、「鈴木理事長のリーダーシップが素晴らしいので議論がまとまるのです。鈴木理事長は信念をもってこの事業に取り組んでいると思います。企業や行政と対等な立場であることを大事にして、責任をもって事業型NPOを実践しています。会員として、意気に感じています」と鈴木理事長に敬意を表した。鈴木理事長と寺島専務理事は、若いときに顔をあわせたことがあったという。その後、接点はなかったそうだが、寺島専務理事が60歳で定年退職後、福祉関係のボランティア活動などをしていたとき、たまたま受講したNPOに関する講演で講師を務めていたのが鈴木理事長で、奇跡的な再会を果たした。その講演を聴き、鈴木理事長の志やイー・エルダーの理念に賛同した寺島専務理事は、2011年にイー・エルダーの一員となり、活躍している。鈴木理事長からの信頼も厚く、本取材でご対応いただいた際も、よき仲間である様子が伝わってきた。働くということは、仕事そのものをすることの達成感だけでなく、仲間ができるとか、仕事先で出会う人に感銘や刺激を受けるといった交流があることも大きな価値なのだとあらためて実感する。イー・エルダーの20年強の歩みをふり返って鈴木理事長は、「人が好きなので、人脈を頼って多くの人に助けていただいてきた20年です」とやわらかな表情で語る。中古パソコンを再生して必要とされている団体などに寄贈するといった実績に加え、事業型NPO法人の先駆けとして、イー・エルダーはNPOの立ち上げを目ざす多くの人たちのモデルとしても社会に貢献している。「現在の課題は、寄贈するための中古パソコンの調達と新規事業の開発です」と鈴木理事長。いまでは「事業型NPO」の老舗であり、これからも多くの人の手本であるイー・エルダーだが、今後の新たな展開も注目される。NPO法人イー・エルダーhttp://www.e-elder.jp/public/■ミッション(理念) 知的社会資産(IT知識・経験・技術、意欲)を持つ高齢者が、「社会を支える側」に立つ気概で、非営利団体の活動の活性化、高齢者や障害者などの社会参加や就業支援に役立つ「ITを中心とした非営利事業」を行う■ビジョン(目標) 日本のNPOが、欧米の第三セクター同様、企業・行政と対等、雇用創出、GDPに寄与する非営利組織確立の社会の流れを創る先達となる■経営方針① ガバナンスを重視。理事は理念の厳守、業務の遂行・監視、担当職務の成果に責任。理事長の実績評価② 社会性と事業性の両立する「事業型NPO」の実績を示す③ 非営利団体、および高齢者・障害者などを対象としてICTにかかわる営利事業を行う④ マーケティング志向とプロフェッショナル意識を重視する⑤ 独創的なサービスを顧客(企業や団体等)に企画・提案する。同時に、顧客の満足度向上とサービスの充実を図るため、全国の他組織との協働を積極的に推進し、信認の精神で実施する⑥ サービスは有料で提供し、会員は役務と成果に応じた報酬を得る

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