エルダー2021年6月号
58/68

2021.656※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します安あ保ぼ雅まさ博ひろ、中山恭やす秀ひで 著/すばる舎/1320円永野 仁ひとし 著/中央経済社/5280円家でも外でも転ばない体を2ヵ月でつくる!日本の高齢者就業人材の定着と移動の実証分析「改正高年齢者雇用安定法」の施行にともなって働く高齢者の増加が見込まれるなか、本書は直近30〜40年間における高齢者就業促進政策を分析し、高齢者がより良好に働ける条件や環境形成のための課題や提言が盛り込まれている。第1部は高齢者就業に影響を与える年金制度や、定年制をめぐる1970年代以降の政策の推移と効果について、かつて早期引退促進策が推進された欧州や米国との比較を交えて紹介している。本誌2020(令和2)年11月号に掲載された特別寄稿「欧米における高齢者就業とブリッジ・ジョブ」を含む内容となっている。第2、3部では、2000年代初頭における定年前後の就業や離職に関する状況、出向を受け入れる企業側の実態を明らかにしている。そのうえで、60代前半層を「継続雇用」、「出向・あっせん」、「転職」と移動経路別に分け、仕事満足度の向上に必要な具体策を示している。継続雇用の質的改善や廃止を念頭にした定年制変更など、高齢者が輝く社会の実現に向けた四つの提言が明快だ。いずれも豊富な先行研究や文献、政府統計などに基づくもので、高齢者就業の全体像と今後の歩むべき道筋を客観的にとらえることができる一冊といえる。生涯現役で活き活き働くためには、転ばない体をつくることが重要だ。しかし、わずかな段差や障害物につまずいたり、つるつるした床で滑って転ぶなど、高齢者の転倒は多く、転倒によって骨折や寝たきりになるケースもある。本書は、転倒予防が大切な理由やなぜ転ぶのか、どうしたら転ばないのかをテーマに、「今すぐできる転倒予防」と、2ヵ月で転ばない体になるための多数の「簡単トレーニング」を平易な文章とイラストで紹介している。転倒の主な原因は、バランス能力の低下にあるという。そこで、「かかと上げバランス」、「裸足でクッションの上に立つ」といったバランス強化トレーニングや、「段差で足上げ」、「座って腕を振る」などの筋肉強化トレーニングをすすめている。家でも外でも、その気になればすぐに始められる内容で、重要なのは定期的に行うことと継続することだという。さらに、「転倒を避ける生活環境づくり」にも言及している。著者は、リハビリテーション医療の第一線で活躍する医師と理学療法士の2人。同じ著者陣による姉妹書『何歳からでも 丸まった背中が2ヵ月で伸びる!』とともにおすすめしたい好著である。目ざせ、元気高齢者!70歳まで元気に働くために、いますぐ始めたい簡単トレーニングを紹介これから求められる、よりよい高齢者就業のあり方を示す

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る