エルダー2021年6月号
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エルダー7特集コロナ禍や自然災害に立ち向かう働く高齢者の底力総 論はじめに私は企業向けの人材開発のお手伝いをしています。主に研修コンテンツを開発したり、講師として研修を担当したりするなかで、ここ数年は、50歳以上のシニア層を対象としたクラスを持つことも増えてきました。仕事上の経験に加え、私自身もあと1年ちょっとで定年を迎えることもあり、シニアの生き方や働き方には強い関心を持っています。2021(令和3)年4月以降、企業には70歳までの就業機会確保が努力義務として法律で定められました。実際、周囲には60歳、70歳を超えた方が大勢元気に働いています。そういう方たちを見ていると、シニアはまだまだ活躍できるし、そのために、新しいことを学び、やったことのないことに挑戦し、より成長できる存在だということを実感します。「働かないおじさん」問題※といった言葉で、シニアが揶や揄ゆされるのはとても残念なことです。シニアには強みがたくさんあり、もし、活躍できていないとしたら、そういう場を与えていないか、活躍しても適切に評価しない、処遇していないという面もあるのかもしれません。では、シニアの強みとは何でしょう?長年の仕事のなかでつちかってきたシニア人材の持つ特徴・強み〈知識と経験と知恵〉最近のシニアはよく学んでいます。オンライン化が進むことで、学習機会もよりいっそう得やすくなりました。私も休日を使ってセミナーに参加すると、顔ぶれには、ミドル以上が多く、新しいことを学び、自分の知識や能力がさびつかないように努力している人が増えているように感じます。「古い知識で語る」と批判されることもあるシニアですが、すべての人がそうではないはずです。知識を学び直すという努力に加え、数十年働いてきたなかで身につけた知恵があります。最新知識・技術の習得スピードや仕事の対応における瞬発力という点では若手に敵かなわないまでも、その知恵を持ってして、問題解決ができたり、創意工夫が生まれたりもするはずです。若手が少ない経験から考えて解決できそうもない問題について、シニアが「それなら、こう※ 「働かないおじさん」問題…… 働いていないように見える、または働いてはいるもののあまり成果を出せない中高年人材の存在が、そのほかの従業員のモチベーションの低下などをもたらしてしまうこと企業を支える力を持つ〝シニアの強み〞トレノケート株式会社 田中 淳子

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