エルダー2021年8月号
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エルダー11特集生涯現役時代の“学び”を考える大手と差別化を図る独自路線のコーヒーチェーン株式会社サザコーヒーは1942(昭和17)年創業。前身は鈴木誉よ志し男お代表取締役会長の父が営んでいた映画館だ。鈴木会長は大学を卒業後、東京で映画の興行プロデューサーとして映画の宣伝を手がけていたが、家業を継ぐため帰郷。だが、映画にかつてのような勢いはなく、映画館の興行だけでは経営が立ち行かなかったため、1969年に映画館の一画に喫茶店を開いた。当時、地域にコーヒー専門店などはなく、また、競合はないが見本となるケースもなかった。そのため、喫茶店経営の専門誌だけが唯一の「教科書」だったそうだ。サザコーヒーの社名は臨済宗の禅語にある「且さ座ざ喫茶」に由来し、「まあ座ってゆっくりお茶でも召し上がれ」という意味があるとのこと。その名の通り、ゆっくりとコーヒーを楽しめる店舗づくりを行ってきた。1号店のオープンから50年あまりを経て、現在は本店1店舗、直営店14店舗(茨城県9店舗、東京都4店舗、埼玉県1店舗)をチェーン展開している。JR常磐線の勝田駅から徒歩7分ほどにある本店は増築しているものの、30年前に建てられたとは思えないモダンな建築で、周囲からも目を引く。店内はコーヒーの産地・中南米の国々で収集した仮面、織物のほか、年代物のコーヒーを淹いれる道具類、世界的に知られる高級テーブルウェアブランドから、古伊万里、地元の笠かさ間ま焼など日本有数の焼き物の産地のコーヒーカップがところ狭しと並べられている。「コーヒーを通じてコーヒーにかかわる産地の文化に触れてほしい」と説明する鈴木会長が胸を張るのはこれだけではない。店内は広く、テーブルは間隔をとってゆったりと並べられ、中庭に面した大きな掃き出しの窓はほぼ開け放たれ、自然を感じられる居心地のよい空間をつくり上げている。「大手のチェーン店にはできないことをするのが当社の強みです。100坪以上ある中庭の雑木は毎日手入れをし、基本的株式会社サザコーヒー(茨城県ひたちなか市)地域の大学と連携し、講義を人材育成に活用理論を学び、いまのキャリアとセカンドキャリアに活かす鈴木誉志男代表取締役会長

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