エルダー2021年8月号
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エルダー19特集生涯現役時代の“学び”を考えるオフィス街に設立した「学びの場」慶應丸の内シティキャンパス(以下、「慶應MCC」)は、2001(平成13)年に慶應義塾の社会人教育をになう機関として開設された。全国から受講者が集まり、その人数は年間2万人を超える。全体の7~8割が企業から派遣された社員で、その所属先の企業は国内有数の大企業が名を連ねている。企業は次世代リーダーおよび将来の経営者・幹部候補の育成、管理職のブラッシュアップを目的とし、派遣される社員はさまざま。社員個人が自己開発を目的として自発的に手をあげて参加するケースも多い。他方、個人の申込みもあり、転職や将来のキャリアを見すえ、広い視野で学びたいというビジネスパーソンや中小企業の経営者などがいる。慶應MCCは、経験を積んだ社会人が学ぶ意義について、「これまでの実践や経験に、新たに獲得した知識・理論を結びつけ、自らの解釈を加えて得た知見により、行動と意識を変容し続けること」と定義し、実践的な仕事の方法論から専門性の深耕、社会観・人間観の醸成まで、参加者の関心領域や置かれた状況に応じた社会人向けの幅広い学びを提供している。学びの舞台となるキャンパスはオフィス街・丸の内エリアにあり、JR東京駅から徒歩3分というアクセスのよいビルに所在する。日本を代表するターミナル駅である東京駅に近いうえ、千代田線、丸の内線、東西線の三つの地下鉄路線の利用が可能で、いずれも徒歩6分以内。終業後に通いやすく、地方のビジネスパーソンであれば出張の合間に利用することも可能だ。各分野の第一人者が講師を務める慶應MCC創立のきっかけは、三菱地所による丸の内エリアの再開発だった。丸の内界隈は、高度成長期には立ち並ぶビル群に金融をはじめとした企業がひしめき、屈指のオフィス街として機能してきた地区だ。しかし、バブル崩壊後の景気低迷などにより、賃料が高い丸の内から流出する企業が増加したため、1998年に三菱地所が再開発に着手。2002年に丸の内ビルディング(通称・丸ビル)が竣工して以降、多くの新しいビルが建設され新たなビジネスセンターとして整備された。それと同時に、テナント誘致によりブランドショップをはじめとする商業施設や三菱一号館美術館といった文化施設がオープンし、休日も多様な人々でにぎ慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)(東京都千代田区)「社会人の学びの場」に集う級友との相互的な対話が次のキャリアの礎いしずえを形成

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