エルダー2021年8月号
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エルダー23特集生涯現役時代の“学び”を考える創業100年を超える総合電機メーカー本業での経験を活かす﹁プロボノ﹂1918(大正7)年に創業したパナソニック株式会社は、「経営の神様」として知られる松下幸之助氏(1894~1989)が前身である松下電気器具製作所を設立した。現在は家電から電設資材、住設建材、車載向けシステムや法人向け商品・ソリューションまで手がけている。2021(令和3)年3月期の売上高は6兆6988億円で、連結の子会社は523社、従業員数は24万3540人(2021年3月末現在)を有する総合エレクトロニクスの名門メーカーだ。同社は創業以来、安価で高品質なアタッチメントプラグや国産初となる電気カミソリ、世界最軽量のビデオカメラといった消費者ニーズに応える画期的な製品を次々と開発し、豊かな社会づくりや暮らしの向上に寄与してきた。この「事業を通じて人々のくらしの向上と社会の発展に貢献していく」という経営理念に沿って、事業活動とともに企業市民活動に取り組んでおり、近年力を入れている取組みが「Panasonic NPO/NGOサポート プロボノプログラム」である。従業員が仕事で身につけたスキルや経験を世の中のために役立てる機会と位置づけているボランティア活動だ。「プロボノ」とは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」の略語。社会的かつ公共的な目的のために行う奉仕活動の一種だが、参加者自身が仕事や職業でつちかった技能や知識を活かす点が一般的なボランティアとの違いといえる。同社のプロボノは、NPO向け公募型助成金プログラム「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs※」で、同社が資金援助したNPOに対するフォローアップの一環として、2011(平成23)年度に始まった。支援対象は同ファンドの助成対象分野をはじめ、東日本大震災直後に始まったというタイミングもあり、大規模な自然災害からの復興といった領域にも拡大した。その支援実績は、NPOの事業運営にかかわる計画策定からウェブサイトのリニューアル、パンフレット・営業資料作成、業務フローの改善提案、マーケティング調査、データ整理・分析などまで多岐にわたる。資金やスタッフの人数に制約があるNPOにとって、事業計画の策定や効果的な集客、PR活動などに課題を抱えているケースは少なくない。同社はNPOやNGOの持続的発展と基盤強化に一役買おうと、国内でプロボノを推進※  Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs……貧困解消に向けて取り組むNPOやNGOの基盤強化に資金援助する同社独自のプログラム。これまでに国内外426団体に、5億3,863万円を支援しているパナソニック株式会社(大阪府門真市)職業スキルを活かして社外ボランティア﹁プロボノ﹂の経験で複業やNPO活動への視野広がる

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