エルダー2021年8月号
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エルダー33<企業プロフィール>株式会社建設相互測地社(福島県郡山市)創業1969(昭和44)年 補償コンサルタント業・用地補償・測量調査 2018(平成30)年に定年年齢を65歳に引き上げました。65歳以降は、一定の条件(健康状態と本人の意思)のもと、年齢の上限なく継続雇用しており、現在の最高年齢者は81歳となっています。短時間勤務・短日勤務といった柔軟な勤務制度のほか、高齢社員の役割の明確化、高齢社員が中心となった「作業手順書」の作成などにも取り組み、令和元年度高年齢者雇用開発コンテスト※では、厚生労働大臣表彰優秀賞を受賞しました。内田教授に聞く 株式会社建設相互測地社のココがポイント!会社が抱える課題解決のため経験豊かな高齢社員を活用 建設相互測地社が取り組むべき課題ははっきりしていました。同社の中核となる人材の確保、技術継承を通した人材育成です。一方、これからは顧客へ提供するサービスの品質向上が欠かせず、それを証明する国際規格であるISOの認証取得が急がれました。建設相互測地社の社長はこれらの難題解決に、自社の経験豊かな高齢者を起用することを迷わず選択しました。 高齢者が安心し、意欲を持って働き続けるには、会社が方針と制度をしっかり打ち出すことが必要です。建設相互測地社は65歳へ定年を延長し、定年後も健康で働く意欲があれば年齢の上限なく継続雇用することとしました。加えて柔軟な雇用制度で、短時間勤務や短日勤務も選択可能です。これにより高齢者の意欲が高まりました。 同社は、高齢者に期待することをはっきり示しています。「若手社員への技術の継承」と「品質チェック機能、工程管理」です。高齢者は若手への技術継承が自分の役割であることを深く認識して実践するだけではなく、業務の品質管理や工程管理に欠かせない「作業手順書」を高齢者主導で作成し、仕事を「見える化」しました。 また、同社ではドローンなど最新技術を積極的に取り入れ、若手と高齢者がペアで作業しています。ドローンを操作するのは新しいことをすぐ覚える若手、ドローンが撮影した画像を分析するのは知識と経験豊かな高齢者です。それぞれの強みを出せれば両者の間に信頼感と尊敬が生まれ、コミュニケーションも深まります。 「生涯現役」の実現に向け、高齢者に求めるものを会社がはっきりと示し、高齢者が現役であり続けるために必要な制度や仕組みづくりを積極的に進めた建設相互測地社の取組みは、おおいに参考になるでしょう。内田 賢(うちだ・まさる)東京学芸大学教育学部教授。「高年齢者雇用開発コンテスト」(※現・高年齢者活躍企業コンテスト)審査委員(2012年度~)のほか、「65歳超雇用推進研究委員会」委員長(2016年度~)を務める。《プロフィール》マンガで見る高齢者雇用エルダの70歳就業企業訪問記解説

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