エルダー2021年8月号
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2021.838ことにより、全国の多様な企業の高齢職員雇用の取組みを知ることができ、大いに参考になっています」とコンテストをふり返ります。今回は、同社が運営するグループホーム「ひだまり南なん星せい」で、ヘルパーとして活躍する高齢職員の方と上司の方にお話を聞きました。働けること自体にやりがいを感じて関村弘子さん(78歳)は、認知症の方が穏やかな生活を送れるように職員が支え、医療機関との連携により生活環境や健康面をケアするグループホーム「ひだまり南星」で働いています。69歳のときにパートタイマーとして入社し、同施設に勤務して9年になります。今年5月までは月9回の夜間勤務のみに就いていましたが、負担を少し減らし、現在は月8回の夜間勤務と月2、3回の日中勤務を行っています。関村さんは、トータル・メディカル津沢に入社する以前にも約6年間の介護業務経験があり、当時、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得して働いていました。しかし、交通事故に遭い、退職。しばらく休養していましたが、体調が戻ったのを機に再び働こうと思い、自宅から通いやすいこの施設で働き始めました。いま、仕事をするうえで大事にしていることは、い研修計画などの実施を提案したといいます。そうしたアドバイスを受けて同社では、高齢者雇用をさらに推進するため、まず、職員の希望に沿える労働条件の改善や産業医による健康診断後のフォローの強化などに取り組みました。その結果、高齢職員から「高齢になり、ちょっとしたことが不安になっていたが、産業医と相談したことで、安心感が出て仕事に対して積極的になった」、「得意な業務をすることで、自信をもって仕事ができている」などの声が聞かれています。こうしたなかで藤井プランナーは、「平成30年度 高年齢者雇用開発コンテスト(現・高年齢者活躍企業コンテスト)」の応募を支援し、同社は当機構理事長表彰特別賞を受賞しました。同社の人事業務をになっている土ど代しろ正まさ治はるさんは、「受賞は光栄でした。また、応募し受賞したの上限は定めていません。この制度を導入してから、定年年齢に達した同社の職員はほとんどの人が継続雇用を希望し働いています。継続雇用の際は、本人と現場の管理者とで面談し、勤務時間や日数、勤務場所などについて一人ひとりの希望をヒアリングし、なるべく希望に沿ったシフトを作成して対応しています。これにより、定年後も無理なく仕事を続けられるうえ、子育てのため時短勤務をしている職員を高齢職員がカバーできるようになり、子育てしやすい職場になるという効果もみられました。65歳超雇用推進プランナーの活動として、2014年に初めて同社を訪ねた藤井プランナーは、次のように話します。「先進的に高齢者雇用に取り組まれており、特に支援の必要はないと思いましたが、介護分野においては、民間の株式会社として施設運営・介護サービスを実施していく場合、経営資源(人、物・サービス、金、時間、情報など)を効率よく活用して多種多様なサービスを行わなければ黒字経営はむずかしいという現実があります。それをふまえて雇用労務管理をする観点に立ち、アドバイスを行いました」具体的には、「他社とは差別化された介護サービス」の提供、高齢者活用による「人(顧客・利用者、職員)に優しい施設」の運営を目ざし、質の高人事を担当する土代正治さん

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