エルダー2021年8月号
41/68

エルダー39「利用者の方に笑っていただける雰囲気をつくること。冗談をいったり、積極的に話しかけたりするようにしています」と関村さん。そして、「利用者の方が笑顔を見せてくれることに、幸せを感じます」と声を弾ませて話します。さらに、「働けること自体にやりがいを感じ、この歳で働くことができる環境に感謝しています。先日、81歳の男性が介護の仕事をしているという話を聞き、私も元気なかぎり、まずは81歳を目ざして仕事を続けたい、という目標を持ちました」とほがらかに話してくれました。グループホーム「ひだまり南星」の管理者で、関村さんの上司の田中みどりさん(52歳)は、関村さんの働きぶりについて、次のように話します。 「いつも明るく、利用者の方に楽しそうに話しかけたり、場を盛り上げたりしてくれます。夜間勤務が中心ですが、職員のシフトのやりくりに困っていると、『昼間も出られるときは出ます』といってくれる、頼りになる職員です。関村さんにはいつも、『無理のない働き方で、長く勤務を続けてください』とお願いしています」また、同社の高齢者雇用の取組みについて、「当施設は特に認知症の方に対応しますので、いろいろな世代や特技などを持つ多様な職員がいることがありがたいですし、私自身も将来、長く現役を続けたいと思っています。管理者としては、職員の希望する勤務時間などに応じてシフトを組むことに苦労もありますが、職員同士でカバーしたり、されたりということが多く、助かっています。幅広い世代がいると考え方などの違いを感じることもありますが、現在の介護にとって大事なことを全員に理解して働いてもらえるよう、伝え方などを工夫し、コミュニケーションを取っています」と語りました。話し合いながら柔軟に対応する職場へ同社の人事をになう土代さんは以前、大きな病院の本部に定年まで勤務し、その後も継続して勤め、78歳で退職。その後すぐに、トータル・メディカル津沢から、前職の経験や介護福祉経営士の能力を活かして、介護施設の新事業のマネージメントを打診され、入社しました。「改正高年齢者雇用安定法の施行にともない、当社においても70歳以上の就労を推進することを決意しました。私が雇用されたのも、この決意の表れだと思います。今後、私が担当する新事業の職場についても、高齢者の採用を積極的に行う方針です」と土代さん。介護の仕事は、多様な経験が糧になると考え、健康で働きたいと希望する人は年齢に関係なく採用したいとのことです。「仕事をするにあたっては、勤務条件の希望を聞き、話し合いながら柔軟に対応していく職場づくりに努めています。意思疎通を図ることで、『この時間なら働けるという友人がいます』といって友人や知人を誘ってくれることがあります。そうして、ワークシェアできる環境づくりも進めていきたいですね。また、熱心な産業医と連携し、健康経営にも取り組み始めたところです」(土代さん)将来的に、定年年齢の引上げ、または定年制度の廃止を視野に入れている同社。最後に土代さんは、SDGs(持続可能な開発目標)の「誰ひとり取り残さない」という誓いを同社でも取り入れ、「職員、利用者、地域社会の『すべての人に健康と福祉の提供』と『住み慣れた安心安全なまちづくり』を目ざします」と話してくれました。  (取材・増山美智子)グループホーム「ひだまり南星」で、利用者の方の生活を支えている関村弘子さん

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る