エルダー2021年8月号
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2021.840はじめに1高齢者に多い職場の労働災害として、これまで、転倒災害、熱中症災害を紹介してきましたが、今回は「腰痛災害」を取り上げます。高齢者は、筋力の低下により重量物を持ち上げるときの負担が大きく、また、柔軟性の低下により無理な体勢を取りやすく、腰痛リスクが高まります。本稿では、腰痛災害の実態、腰痛の原因などを紹介し、どうすれば腰痛を防ぐことができるのかを2回にわけて解説します。腰痛とは2腰痛には、ぎっくり腰、椎間板ヘルニアなどがあり、腰の痛みだけに留まらず、臀でん部ぶから大腿後面・外側面、膝関節を越え、下腿の内側・外側から足背部・足底部にわたり、痛み、しびれが広がるものもあります。業務上疾病の6割近くは腰痛3職場で働いているときにかかる疾病、いわゆる業務上疾病(2018年疾病者数8684人)のうち、災害性腰痛(同疾病者数5132人)は6割近くを占めています(図表1)。業種別の腰痛発生状況4業種別に腰痛の発生状況をみると、保健衛生業(社会福祉施設、医療保健業等)が30・5%と最も多く、次いで、商業・金融・広告業の17・3%、製造業の14・8%の順になっています(図表2)。また近年、社会福祉施設での腰痛の増加が顕著です(図表3)。※ 前回までの内容は、当機構ホームページでご覧になれます。エルダー 高齢社員のための安全職場づくり検索 生涯現役時代を迎え、60歳、65歳を超えて、より長く活躍してもらうためには、企業が職場における安心・安全を確保し、高齢社員が働きやすい職場環境を整えることが欠かせません。本連載では、高齢者の特性を考慮した〝エイジフレンドリー〞な職場の実現方法について、職場の安全管理に詳しい高木元也先生が解説します。労働安全衛生総合研究所 高木 元也―エイジフレンドリーな職場をつくる―高齢社員のための安全職場づくり腰痛災害の防止①第8回

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