エルダー2021年8月号
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エルダー43腰痛の発生要因7厚生労働省「職場における腰痛予防指針」によると、以下のように腰痛の発生要因には、さまざまなものがあります。❶動作要因(a)重量物の取扱い・ 重量物の持上げ、運搬などで、腰に強度の負荷を受ける(b)人力による抱上げ作業・ 介護・看護作業など、人力による人の抱上げ作業で腰に大きな負荷を受ける(c)長時間の静的作業姿勢(拘束姿勢)・ 立位、椅座位など、静的な作業姿勢を長時間とる(d)不自然な姿勢・ 前屈(おじぎ姿勢)、ひねり、後屈ねん転(うっちゃり姿勢)など、無理な姿勢をしばしばとる(❷環境要因により無理な姿勢を強いられることもある)(e)急激または不用意な動作・ 急に物を持ち上げるなど、急激または不用意な動作をする(予期せぬ負荷が腰にかかれば腰筋などの収縮が遅れ、それにより身体が大きく動揺し腰椎に負担がかかる)❷環境要因(a)振動・ 車両系建設機械などの操作・運転時の振動(著しく粗大な振動)・ 車両運転などによる長時間振動(b)気温、湿度・ 寒冷な作業環境(血管収縮が生じ筋肉が緊張することにより、十分な血流が保たれず筋収縮および反射が高まる)・ 多湿な作業環境(湿度が高く発汗が妨げられると疲労しやすく、心理的負担が大きくなる)(c)床面の状態・ 滑りやすい床面、段差など(床面、階段でスリップ、または転倒すると、瞬間的に腰に過大な負荷がかかる)(d)職場の明るさ・ 暗い場所での作業(足元の安全確認が不十分な状況では転倒などのリスクが高まる)(e)作業空間・設備の配置・ 狭く乱雑な作業空間、作業台等の不適切な配置(作業空間が狭く、配置が不適切で整っていないと無理な姿勢につながる)(f)勤務条件等・ 小休止や仮眠が取りにくい、長時間労働、施設・設備が上手く使えない、一人勤務が多い、教育・訓練が十分に受けられない(強い精神的な緊張度を強いられ、❹心理・社会的要因が生じる)❸個人的要因(a)年齢差・性差・ 年齢差(高齢者の筋力低下)や性差(一般的に、女性は男性よりも筋肉量が少なく体重も軽く、作業負担が大きい)(b)体格・ 体格と作業台の高さが合っていないなど(c)身体能力差・ 握力、腹筋力、バランス感覚等の違い(d)既往症、基礎疾患の有無・ 椎間板ヘルニアなど、腰痛の既往症、血管性疾患、婦人科疾患、泌尿器系疾患などの基礎疾患❹心理・社会的要因・ 仕事への満足感や働きがいが得にくい、上司や同僚からの支援不足、職場での対人トラブルなどにより、また、労働者の能力と適性に応じた職務内容となっておらず、過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、責任等が生じ、このことで腰痛になるこのように、腰痛には作業内容や職場環境など、さまざな要因があります。次号では、事業者に求められる各種腰痛対策について解説します。高齢社員のための安全職場づくり―エイジフレンドリーな職場をつくる―

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