エルダー2021年8月号
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2021.854とです。シニアの人たちの責任感と道徳観、経験に裏打ちされた所作や言葉にはただ脱帽するしかありません。これからもシニアの方が働き活躍できる場所として、環境を整備していきたいと思っています」と、原田社長は話す。シニア人材と日々接しており、採用と管理を担当する松村隆寛係長は、シニア人材について次のように話してくれた。「私は派遣のシニアのみなさんの責任感の強さに驚いています。例えば私が何かを指示すると、若い社員でしたら指示されたことをやるだけですが、シニアのみなさんはほかの部分からも提案や意見を出してくれます。支店業務ではお客さまと営業の間をつないでくれるので助かっています。みなさんのコミュニケーション能力の高さに学ばせてもらっています」佐藤株式会社は創業から半世紀を誇り、福岡市内と大おお野の城じょう市に5店舗のスーパーマーケットを展開。現在44人のシニアがセンターから派遣されており、長期にわたって働いている人も多い。同社人事総務部の西田修部長は、マッチングの秘訣を次にように話す。「気がついたら44人になっていたというのが正直なところですが、スーパーの働き方がシニアのみなさんの生活リズムとマッチしていたからだと私は思います。営業時間は10時から21時と長いのですが、さらに食料品を補充して朝の開店に間に合わせる『品出し』の仕事があり、その時間帯にシフトに就いてもらっているのがシニアのみなさんなのです。朝7時から3時間、あるいは5時間という勤務に子育て中の主婦の方が就くのはむずかしく、その部分をカバーしてもらっています」同社でシニアの採用が始まったのは2006年のこと。4人のシニアを採用し、全員が『品出し』を担当していたという。現在、センターから派遣されている44人のうち、70代以上が7割を占め、最高齢者は81歳。この15年間に働いたシニアは延べ158人に上る。「シニアのみなさん一人ひとりが長期間にわたって貢献してくれています。高齢になると病気などのリスクがあることもたしかですが、それを差し引いても長く働いてくれるので助かっています。病気が長期化したときなどはセンターのアドバイザーに相談して調整してもらっていますが、各店舗の責任者が高齢者の体調に十分留意するよう心がけて勤務にあたっています。今年の初め、胸が痛いと訴えた79歳の方に、店長はすぐに病院に行くことを指示、即入院となり大事に至りませんでした。こういう判断は一朝一夕にできることではありません。これからも安心・安全に働ける環境を整え、シニアのみなさんに楽しく働いていただきたいと願っています」管理課係長松村 隆寛さん長期にわたって数多くのシニアが活躍佐藤株式会社人事総務部 部長西田 修さんシニア人材活用企業の声❷

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