エルダー2021年8月号
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2021.856※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します藤村博ひろ之ゆき 編/有ゆう斐ひ閣かく/2090円木下潮しお音ね 著/一般社団法人日本労務研究会/3080円考える力を高めるキャリアデザイン入門なぜ大学で学ぶのか労働法に関する知識を人事労務管理の実践につなげる際に、労働判例から得られる情報が役立つことが珍しくない。例えば、2020(令和2)年10月に相次いで出された最高裁判決は、同一労働同一賃金への対応などの各種制度の見直しに影響を及ぼしたのではないだろうか。一方で、判例を読みこなすためには相応の知識が必要であり、多忙な人事労務担当者のなかには、なかなか手が出ない人もいると思われる。本書は、こうした悩みに応えるために企画されたもので、月刊誌『人事労務実務のQ&A』誌上で10年にもわたって続いている連載がベースになっている。精選した70の判例を「労働契約」、「賃金・労働条件」、「懲戒・解雇・雇止め」、「その他(労災・損害賠償等)」に分類して収録。各判例の解説は、「どんな事件ですか」、「何が争点となったのでしょうか」、「判決の具体的な内容はどうだったのですか」、「判決が与える影響はどうでしょうか」という四つのQ&Aを切り口に、わかりやすく、そしてコンパクトにまとめられている。「判決要旨」に目を通すことで、判例の概要を把握することも可能だ。人事労務担当者が手元に置くガイドブックとしておすすめしたい。本誌編集アドバイザーで法政大学大学院教授の藤村博之氏をはじめ、社会保険労務士やキャリアコンサルタントら4人による共著。法政大学で2018(平成30)年度に行われた「キャリアデザイン入門」の講義内容をベースに構成されている。キャリア形成や労働関連法の基本知識をはじめ、働き方改革やジョブ型雇用、「人生100年時代」におけるキャリア構築といった時事的な話題も豊富に取り上げた一冊。社会人として仕事に向き合う際の心構えを説く大学生向けの指南書だが、新卒であったり、業務経験が少なかったりする人事労務担当者の入門書としても活用できる内容となっている。若者の早期離職や女性活躍、非正規労働などに関する政府の統計データを織り交ぜながら、育児休業中のワーキングマザーや零細企業へ転職した元大手企業勤務の男性の体験談、就職を控える大学生たちのリアルな声も掲載。マクロとミクロの両面から働く人たちの「今」を知ることができ、働きやすい会社や職場づくりについて考える基礎的資料としても役立ちそうだ。年齢にかかわらず、生涯学び続けることの大切さを再認識させられる一冊だ。働きやすい企業・職場づくりに向け、理論からデータ、労働者の声まで網羅人事労務担当者が手軽に活用できる労働法ガイドブックQ&Aで読む実務に役立つ最新労働判例集

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