エルダー2021年8月号
61/68

エルダー592021.8 August ニュース ファイル 「過重労働解消キャンペーン」の実施結果厚生労働省厚生労働省は、2020(令和2)年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果をまとめた。それによると、監督を行った事業場のうち71・9%に労働基準関係法令違反が認められた。今回の監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して集中的に行った。結果をみると、監督を行った9120事業場のうち、6553事業場に労働基準関係法令違反が認められた(違反率71・9%)。主な違反内容をみると、違法な時間外労働があったものが2807事業場(全体の30・8%)、賃金不払残業があったものが478事業場(同5・2%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが1829事業場(同20・1%)となっている。主な業種別の違反率をみると、製造業74・4%、建設業70・9%、運輸交通業79・5%、商業70・4%、接客娯楽業77・4%となっている。一方、事業場規模別の監督指導実施事業場数をみると、最も多かったのは「10〜29人」の3694事業場(全体の40・5%)、次いで、「1〜9人」の2592事業場(同28・4%)、「30〜49人」の1247事業場(同13・7%)、「50〜99人」の712事業場(同7・8%)、「100〜299人」の622事業場(同6・8%)、「300人以上」の253事業場(同2・8%)の順となっている。「無期転換ルールに対応するための取組支援ワークブック」を作成厚生労働省厚生労働省は、「無期転換ルールに対応するための取組支援ワークブック」を作成し、インターネット上のサイトに公開した。無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのこと(2013年4月1日施行)。契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生する。有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立する。このワークブックは、企業が無期転換ルールに対応するにあたって問題となるポイントを中心に、ワーク形式の演習を交えながら解説したもので、巻末には八つのステップからなるワークシートが掲載されている。厚生労働省では、2018(平成30)年に同省より発行された「多様な正社員及び無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説(全業種版)」とともに使用し、無期転換ルールに対応した社内制度の整備に活用してほしいとしている。「無期転換ルールに対応するための取組支援ワークブック」は、左記のサイトで公開されている。●有期契約労働者の無期転換ポータルサイト   https://muki.mhlw.go.jp/(ワークブックは、サイト上にある「導入支援策」の2で公開)中小企業労働条件等実態調査「働き方改革に関する実態調査」結果東京都東京都は、働き方改革関連法のうち労働時間制度に関する認知度や取組み状況、新型コロナウイルス感染症拡大による働き方の変化について労使双方の意識を把握するための調査を実施し、その結果をとりまとめた。この調査は、事業所(都内の常用従業者規模30人以上の3000事業所・有効回収率 32・1%)と従業員(事業所調査の結果から協力を得られた事業所の正社員2000人・有効回収率 51・2%)を対象に、それぞれ2020(令和2)年10月1日時点について実施したもの。調査結果から、働き方改革関連法の改正内容の認知度について事業所調査の結果をみると、「時間外労働の上限規制」と「年5日の年次有給休暇の確実な取得」は「知っている」が9割を超え、そのほかの項目でも、「知っている」が過半数を超えている。次に、多様で柔軟な働き方についてみると、事業所調査の結果では、「既に導入済」と「導入済だがさらに拡大したい」を合わせた回答が最も多かった項目は、「時差出勤制度」(60・9%)、次いで「在宅勤務・テレワーク」(50・7%)となっている。また、「今後導入したい」制度で最も多かったものは、「フレックスタイム制」(15・4%)、次いで「在宅勤務・テレワーク」(9・8%)となっている。一方、従業員調査の結果から、「今後導入してほしい」働き方についてみると、「週休3日制」(54・5%)が最も多く、次いで「フレックスタイム制」(35・3%)、「サテライトオフィスなど勤務場所の変更」(29・6%)となっている。

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る