エルダー2021年8月号
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エルダー61放任主義を改め会社として社員の健康に関与近年、働きやすい職場づくりの一環として、社員の健康づくりに積極的な企業が増えている。社員が生涯現役で活躍するためには、健康づくりは企業にとって不可欠な施策といえる。今回紹介するアップコン株式会社は、会社をあげて社員の健康増進活動に取り組み、病欠・遅刻日数を大幅に削減、さらに喫煙者の大幅な削減にも成功している。その活動が評価され、「安全衛生優良企業」(厚生労働省)、「健康経営優良法人(ブライト500)」(経済産業省)に認定されるなど、健康づくりの先進企業として注目を集めている。2003(平成15)年6月に設立された同社は、建物や公共インフラなどにおいて、地震や地盤沈下などで傾きや段差などが生じたコンクリートの床を、ウレタン樹脂を用いた独自工法(「アップコン工法」)により、短工期で補修する施工を全国で展開している。社員数は49人(2021年4月現在)、平均年齢30代の若い企業である。同社が社員の健康づくりに取り組み始めたきっかけは、2015年に病欠や遅刻をする社員が急増したことだった。「設立から10年が過ぎ、少し社風が緩ゆるみ始めた時期でした」と振り返るのは、代表取締役社長の松藤展のぶ和かず氏。チームを組んで現場で施工する同社にとって、社員の病欠や遅刻は事業に直接影響を及ぼすため、何らかの対策が必要になった。同社は創業時から基本理念として「健康第一」、「安全第一」、「家庭第一」を掲げてきたが、もともと社員に対しては放任主義だったという。「社員はみな大人ですから、自分の健康は自分で管理してほしい、という考えでずっとやってきました。しかし、放任していてはダメなことがわかり、会社として社員の健康に関与するように方針を変えました」(松藤氏)そこで発足させたのが、社員の健康に役立つ活動を企画・運営する「健康活動倶楽部」(略称:健ケン活カツ倶楽部)である。松藤氏は、社員に楽しみながら健康活動に取り組んでもらいたいと考え、社員有志が会社非公認で週末などに活動していたレクリエーション部を巻き込んで、会社が費用を負担し、就業時間内に活動を行う社員全員参加の社内プロジェクトとして、2016年2月にスタートした。「健活ポイント制度」で社員の運動習慣を後押し健活倶楽部は図表1のような組織になってい健康づくり企業に目ざせ生涯現役!  生涯現役時代を迎え、企業には社員が安心して長く働ける制度・環境の整備が求められていますが、生涯現役の視点で考えると、「社員の健康をつくる」という視点も欠かせません。 そこで本企画では、社員の健康づくりに取り組む先進企業の事例をご紹介します。目注第1回アップコン株式会社(神奈川県川崎市)楽しく健康活動に取り組み、病欠・遅刻日数を大幅に削減

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