エルダー2021年8月号
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エルダー63は健活ポイントを1万ポイント支給することでモチベーションアップにつなげた。禁煙をあくまで強制ではなく推奨し、本人の自主性を尊重した結果、現在の喫煙者は1人(全体の2%)にまで減少した。健活倶楽部が成功した三つのポイント健活倶楽部の活動を実施した結果、課題となっていた病欠・遅刻日数は大幅に減少した(図表3)。さらに、同社の医療費の削減にもつながっており、被保険者1人あたりの年平均医療費は、所在地や業種別の平均値の半分以下となっている。結果として、労働生産性の向上につながり、ひいては経営の安定・企業価値の向上にもつながっている。「健康活動はコストではなく投資と考えて取り組んでいます」と松藤氏。これだけの活動をしながら、年間予算は社員1人あたり約1万円、年間50万円程度となっている。健活倶楽部が成功した理由について、松藤氏は三つのポイントをあげている。一つめは、会社公認のプロジェクトとして、就業時間中の活動を認めていること。二つめは、ゲーム感覚で楽しくやること。「『◯◯しなければいけない』というやり方では、義務的になってしまい、いくら就業時間中であっても活動は長続きしません。『こんな楽しいことを仕事中にやっていいの?』というくらい楽しいことをやっているからこそ、長続きしています」(松藤氏)そして三つめは、健活倶楽部のリーダーの役割である。「『2・6・2の法則』があります。上の2割の人は賛成し、下の2割の人は反対する。真ん中の6割は『やった方がいいかな』という感じでしょう。このときに、リーダーが下の2割を上に上げようと努力すると、苦労して疲弊してしまいます。そのため当社では、社内でプロジェクトを行うときには、真ん中の6割を上の2割に上げることをリーダーの仕事にしています。そして下の2割には、ついてくるか否かは本人にまかせて、放っておくのです。そうするとリーダーはがんばれます。2割の人にいやいや入ってこられても、楽しんでやっている人たちがつまらなくなってしまいますからね。上の2割と真ん中の6割が楽しくやっていれば、下の2割も自然についてきます」(松藤氏)そしてもちろん、経営者の後ろ盾が健活倶楽部の活動を支えていることはいうまでもない。松藤氏自身、率先垂範して健活倶楽部の活動に楽しんで参加している。同社では現在、社員の健康リテラシーを高めるため、全社員に「日本健康マスター検定」※2(日本健康生活推進協会)の資格取得を推進しており、松藤氏は同協会の普及認定講師として、職場での普及活動にも取り組んでいる。「最終的には、社員全員が健康に関する知識を深め、健康への意識を自ら高めてもらいたいと考えています。わが社には定年退職制度はありません。働きたければ何歳まででも働ける会社です。過去には80歳の社員も活躍していました。ぜひ健康を意識して、末永く活躍してほしいと思います」(松藤氏)※2 日本健康マスター検定……日本健康生活推進協会が主催する検定。日々の生活や仕事に役立つ健康知識やノウハウに関する検定試験を行い、合格者は「健康マスター」として認証され、職場や地域の健康リーダーとしての活躍が期待される目ざせ生涯現役! 健康づくり企業に目注201420152016201720182019(年)遅刻早退病欠日数遅刻回数病欠人数4035(人)30252015105010090(日)80706050402010300大幅削減2016年2月 健活倶楽部発足図表3 病欠・遅刻状況の推移

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