エルダー2021年9月号
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エルダー11特集 “働き続ける”ための仕事と介護の両立支援本稿では、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)で定める基本的な従業員の勤務にかかわるルールについてQ&A形式で解説します。介護休業とはどんな制度ですか?Q1介護休業は、要介護状態の家族を介護するために、労働者の緊急的な対応措置として一定期間の休みを取得できる制度です。例えば、入社1年以上など労使協定等に定めた基準を満たした者が取得できます。対象となる家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、配偶者の父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫です(図表1)。また、要介護状態とは、負傷、疾病、身体、精神上の障害により、2週間以上の常時介護を必要とする状態をいい、目安は介護保険でいう要介護2以上となります。休業期間の上限日数は家族1人につき93日です。この日数に達するまでは、対象家族一人につき分割して3回まで休業の申し出ができます。申出は原則、休業開始予定日の2週間前までに書面等で行い、会社としても申出を受領したことなどを従業員本人に通知します。なお、休業中に賃金が支払われなくても、年齢に関係なく雇用保険に加入している従業員であれば、後で述べる介護休業給付金を受け取ることが可能です。介護保険の要介護認定を受けなければ介護休業等の対象家族とはならないのでしょうか?Q2育児・介護休業法と介護保険法では、要介護の認定の基準が異なるため、介護保険の要介護認定を受けなくても対象家族となる可能性があります。まず、介護保険法の要介護状態は「身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、解説1本人祖父母父配偶者の父子孫※厚生労働省の公表資料をもとに筆者作成図表1 対象家族の範囲祖父母母配偶者の母兄弟姉妹配偶者介護関係の「子」の範囲は、法律上の親子関係がある子(養子含む)のみQ & Aで学ぶ育児・介護休業法社会保険労務士 上野香織︵社会保険労務士事務所あおぞらコンサルティング︶

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