エルダー2021年9月号
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特集 “働き続ける”ための仕事と介護の両立支援エルダー13いる場合には原則取得はできません。また、ほかに労使協定を締結している場合には契約期間の定めの有無にかかわらず、申出日時点で入社1年未満の者、申出の日から93日以内に雇用期間が終了する者、週所定労働日数が2日以下の者は介護休業取得の対象外となります。このため実務上は、これまでの通算契約期間が短い場合や労働契約満了をもって雇用の終了がすでに決まっているなどの場合には、対象者とならないケースがあるので注意が必要です。契約期間の定めがある従業員でも誤解なく介護休業が取得できるようにルールの整備をしておきましょう。介護休業のときに受給できる介護休業給付金とはどのようなものでしょうか?Q4介護休業給付金は、介護休業期間である最大93日間(3回まで)受け取ることができる雇用保険の給付金です。1日分の給付額は、およそ1日分の給与(休業開始前の給与6カ月分を180で除した休業開始時賃金日額)の67%です。例えば、平均的な給与が20万円の人が1カ月の介護休業を取得する場合、1支給単位期間(1カ月を30日とした期間)あたり13・4万円程度が受給できます。なお、受給にあたり、雇用保険に加入していること以外にも、原則休業開始前の2年間に賃金が11日以上支払われている月が12カ月以上あること、1支給単位期間での就労日数が10日以下であること、介護休業期間中に休業開始時賃金日額の8割以上の賃金が支払われていないことなどの要件があります。ちなみに賃金が支払われる場合、一定以上支払いがあるとその分給付は減額されます。また、1支給単位期間の上限額が設定されており、2021年8月1日以降は33万2253円となっています。このような介護休業給付金ですが、従業員にとっては非課税で所得税などが差し引かれずに受給できるメリットもあり、活用するとよいでしょう。介護休暇とはどんな制度ですか?Q5介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や世話をする労働者が取得できる休暇制度です。介護休業制度と要介護状態の基準や家族の範囲は同じですが、対象家族の通院などの付添い、介護サービスの必要な手続きの代行にも利用できる点が異なります。手続きも、休暇当日の電話での事前申出も可能とするなど、利便性が高いのが特徴です。介護休暇の取得可能日数は、対象となる家族が1人の場合1年度につき5日、2人以上の場合に10日です。介護休暇の有給、無給は会社が定めます。原則、すべての労働者が取得できますが、労使協定で定めている場合には、入社6カ月未満や週所定労働日数が2日以下の者は取得できません。従業員から見た介護休暇の利便性は、2021年1月施行の法改正により時間単位の利用が可能となったことでさらに高まったといえるでしょう。時間単位で利用すれば、始業・終業時間で労働時間を短縮できるほか、始業と終業時刻の間に取得すること(中抜け)も可能です。ただし、中抜けを認める制度とするかは、従業員の使い勝手のよさと業務上の影響などから会社が判断します。そもそも、1時間単位の利用は会社側の管理も煩雑になりやすいのでこの点にも注意してルールを決める必要があります。なお、業務の性質や実施体制に照らして時間単位で休暇を取得することが困難と認めた業務に就く従業員がいる場合に、時間単位の利用の対象外とするときは、労使協定を締結する必要があります。休業や休暇以外に勤務で利用できる制度にはどのようなものがありますか?Q6従業員が継続的に仕事と介護を両立するため

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