エルダー2021年9月号
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2021.914には、勤務にも一定の柔軟さが求められます。このため育児・介護休業法では休業・休暇以外に、要介護状態にある対象家族を介護する従業員を対象として、次のような勤務制度(図表4)を定めています。①所定外労働の制限(残業免除)②時間外労働の短縮③深夜業の制限④所定労働時間短縮等の措置次のいずれかもしくは複数から会社が選択・短時間勤務制度(1日の所定労働時間を短縮する制度や所定労働日数を少なくする制度など〈所定労働時間が8時間の場合2時間/日、7時間以上の場合1時間/日が目安〉)・フレックスタイム制度・始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ・従業員が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度(従業員が直接介護するのに代わる介護サービス費として、会社が所定労働日数1日あたり2時間、料金の半額相当を負担するものが目安)なお、①から③は、利用回数などの制限はないのに対して、④の措置は利用開始日から3年以上の期間で利用できることを求められています。そのため会社として、少なくとも利用開始日から3年以上の間、いずれかの制度を従業員が利用できるようにします。また、この3年の間に介護休業も取得するというケースを想定し、2回以上の利用ができるようにしておく必要もあります。勤務制度は、仕事を続け一定の収入を確保しながら介護をする従業員にとって大切です。会社が仕事と介護の両立を支えるべく利用できる制度は、わかりやすく「育児・介護休業規程」等で定めておきましょう。図表4 仕事と介護の両立のための勤務制度(介護休業・介護休暇以外)制度概要と対象者手続き①所定外労働の制限(残業免除)●残業を免除することができる●要介護状態の対象家族を介護する者が対象だが、労使協定で定めた場合に次の者は対象外・入社1年未満の者 ・週所定労働日数が2日以下の者・1回の請求につき、1カ月以上1年以内の期間・開始日の1カ月前までに、書面等により申出②時間外労働の短縮●時間外労働(労働基準法で定める時間を超えた時間外労働)を1カ月24時間、1年150時間に短縮できる●要介護状態の対象家族を介護する者が対象だが、次の者は対象外・入社1年未満の者・週所定労働日数が2日以下の者・1回の請求につき、1カ月以上1年以内の期間・開始日の1カ月前までに、書面等により申出③深夜業の制限●深夜業(22時から翌5時の勤務)を免除できる●要介護状態の対象家族を介護する者が対象だが、次の者は対象外・入社1年未満の者 ・介護ができる(深夜業に従事していない、産休中でない等の)16歳以上の同居の家族がいる者・週所定労働日数が2日以下の者 ・所定労働時間の全部が深夜にある者・1回の請求につき、1カ月以上6か月以内の期間・開始日の1カ月前までに、書面等により申出④所定労働時間短縮等の措置●短時間勤務制度/フレックスタイム制度/始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ/従業員が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度のうちいずれか(あるいは複数)を利用できる●要介護状態の対象家族を介護する者が対象だが、労使協定で定めた場合に次の者は対象外・入社1年未満の者 ・週所定労働日数が2日以下の者・利用開始日から起算して3年以上。2回以上申出可能※あおぞらコンサルティング作成

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