エルダー2021年9月号
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エルダー15特集 “働き続ける”ための仕事と介護の両立支援はじめに1企業が介護離職防止のために両立支援を考えるとき、介護する従業員すべてに適した支援策はないといっても過言ではありません。介護は介護される人の状況や介護する人の事情が多岐にわたります。このような特徴をふまえて、企業が仕事と介護を両立するための支援を検討するうえでのポイントを解説します。両立支援の必要性2仕事と介護の両立支援は、企業と従業員それぞれにとって意味があります。企業にとっては、従業員が離職することで労働力が不足するのを回避するだけでなく、技術や技能の承継や、管理職が突然離職することによる職場全体の生産性の低下などを避けることができます。介護する従業員は、肉体的にも精神的にも疲弊します。また、介護離職をすると収入が途絶え経済的にも大きなマイナスとなるほか、キャリアの断絶にもなってしまいます。企業が仕事と介護の両立支援をすることで、介護する従業員を肉体的、精神的、経済的に守ることができます。両立支援の策定手順3両立支援の策定の手順は図表1のように進めていきます。まず、両立支援の目的は、最近では、介護離職防止だけではなく、介護する従業員の働きやすさに重点をおく企業、事前の準備に力を入れ円滑な両立を目ざすことを目的にする企業もあります。解説2次に、自社の現状やニーズの把握をします。すでに一度、現状把握をした企業であっても状況は変わります。前回から一定の期間が経過している場合は、実施した支援策の効果を含めて現図表1 両立支援策定の手順仕事と介護の両立支援のポイント特定社会保険労務士 池田直子︵社会保険労務士事務所あおぞらコンサルティング︶※あおぞらコンサルティング作成目的の検討・決定・実際の介護経験者・全員…介護での不安や直面の状況※ 介護に関する情報提供を実施後にアンケートを行う場合もある・現状での職場満足度現状把握ニーズの把握支援策決定実施支援策の策定作業「情報提供」「環境整備」「勤務支援」介護施策等の方向性の決定支援策の検討・決定ニーズとのマッチングPDCAで見ること

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