エルダー2021年9月号
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特集 “働き続ける”ための仕事と介護の両立支援エルダー21全社員向け・管理職向けの二つの介護セミナーを実施2015年度からは毎年、全社員を対象とした介護セミナーを実施している。イントラネットで告知して参加希望者を募り、100人規模で実施可能な社内の研修室を利用し、外部の講師を招いて開催してきた。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響でオンラインでの実施となった。参加者のほとんどは介護経験がなく、介護についての予備知識がほぼないという人も多い。参加する社員の年齢層は30代から60代までと幅広いが、介護に直面する可能性が高い50代がボリュームゾーンだという。セミナーの内容は、介護のもっとも基礎的な解説になっており、初心者向けにわかりやすく伝えられる。宮森室長は「介護について事前に備えておくべきことから、いかに介護で離職せず、長期休業をしないで、仕事と介護を両立させていくかを伝えています」と説明する。参加者からは、「介護についての知識を得ることができた」、「これまでは介護に対して不安しかなかったが、対策を知ることができて認識が変わった」、「まず何を考えたらよいかを知ることができて、自分のこととして考えられるようになった」などの感想があがっている。2016年度からは、管理職向けのダイバーシティ・マネジメント研修の一環として、介護をテーマとした研修をスタートした。毎年開催しており、新任管理職は受講することが義務づけられている。「管理職向けの研修のポイントは二つあります。一つは仕事と介護を両立する部下と、その組織をマネジメントすることの意義を理解してもらうという点。そしてもう一つは、チームのマネジメントをになうような年代は自身が介護に直面する可能性があることから、自身の仕事と介護の両立について備えるという点。この二つの目的で研修の受講を必須にしています。具体的には、今後、仕事と介護を両立する部下が増えた場合の心構えや、生産性を保って組織運営をするためのポイント、実際に部下から相談された際の対応などを学んでもらいます。ダイバーシティの推進には、管理職の理解や意識改革が非常に重要です。介護や育児といったライフイベントと仕事の両立を支援するためのダイバーシティ・マネジメントを実践できる管理職の育成のため、今後も注力していく予定です」(宮森室長)。両立支援のハンドブック配布と相談窓口による個別対応2017年には﹃仕事と介護の両立支援ハンドブック﹄を作成し、40歳以上の全社員に配付した。社員が介護に直面する前の備えと、仕事と介護の両立を実現することを目的としてとりまとめたものだ。介護セミナーの様子(2019年度。2020年度はオンラインで開催)

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