エルダー2021年9月号
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エルダー23特集 “働き続ける”ための仕事と介護の両立支援「心と心をつなぐ」という方針のもと介護サービス事業を展開群馬県桐生市に本社を置く有限会社CОCО︲LОは2005︵平成17︶年、雅う樂た川がわ陽子代表取締役社長が訪問看護ステーションを主な事業として起業し、その後順調に事業を拡大。いまでは、通所介護、居宅介護支援、フィットネス事業なども手がけている。「心と心をつなぐ」という思いを社名に冠した同社は、利用者とその家族はもちろん、自社にかかわるあらゆる人の心を大切にする方針。「従業員一人ひとりにとっても、自分らしくいつまでも輝ける場所であるように」と、ワーク・ライフ・バランスやキャリア支援の取組みを充実させてきた。従業員100人ほどの中小企業ながら、働き方改革やダイバーシティ推進などに関して、群馬県、内閣府、厚生労働省、経済産業省、中小企業庁などから数多くの賞を受賞しているので、ご存じの方も多いだろう。人材の確保を目的として育児との両立支援からスタートいまでこそ全国的に知られるようになった同社だが、創業当初は知名度もなく、スタッフの確保に苦労したという。そのことが、同社が仕事と家庭生活の両立支援に取り組むきっかけとなった。「当時はまだ、家庭で女性だけがになう役割が多く、家事や育児はもちろん、介護も女性が行うのがあたり前という時代でした。そして、『家庭が成り立たないなら、女性が働くのはむずかしい』という考え方が一般的でした」と雅樂川社長はふり返る。初めに取り組んだのは、育児との両立支援だ。看護師資格を持つ人材を必要としていた同社が注目したのが、子育て中の看護師だった。「専門職である看護師は転職が比較的容易なので、子育て中は仕事を辞める人が多い」という話を聞いた雅樂川社長は、実際に子育て中の看護師に会い、どんな形であれば働きたいかヒアリングした。すると、「家庭を犠牲にしてまで働く気はないが、子どもが保育園や小学校に行っている間であれば働ける」という答えが返ってきた。そこで、その時間帯だけ働ける柔軟な勤務形態を設けた︵図表1︶。事例2独自の休暇や意識改革の教育などにより仕事を続けたい従業員の思いに応える有限会社CココОCО-LロО(群馬県桐生市)雅樂川陽子代表取締役社長

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